険しい山に登る、その畏怖と達成感。黛敏郎:交響詩「立山」

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黛敏郎といえば、ある程度お歳の方なら「題名のない音楽会」の司会者といえば思い出されることでしょう。どちらかと言えば最先端を行く作曲家で、主要作品もいわゆる「現代音楽」に含められるものと思いますが、交響詩「立山」は非常に古典的なクラシック音楽と言ってよい作品です。映像とコラボした作品で「映像音楽」とでも言えばよいのでしょうか、映像を見たことがないのでよくわかりませんが、「映画音楽」ではないようです。

但し、この作曲家は映画音楽もたくさん作っており、日本初のカラー映画(フィルムも日本製という意味で)「カルメン故郷に帰る」といった、映画にご興味のある方には有名な作品もたくさんあります。「キューポラのある街」、「裸の大将」、「野獣死すべし(1959)」などなど。加えてアメリカ・イタリア合作の「天地創造」。これなどは若いころ私も見て、かなり原作(聖書)に忠実だなぁと思いました。

で、「立山」ですが、日本の「アルプス交響曲」と評する向きもあるようでしたが、特に時系列に登山の様子を描いたものではありません。と思います。山の厳しさ、険しさ、そして美しさが荘厳なまでに輝いています。

第一部「大地」

ちょっと聴くと平凡に思われるかもしれませんが、なかなかに深いものがあります。聴き終わった後の爽快感が何とも言えず、時々聴きたくなってしまいます。

しかし紹介しておいてなんですが、この作曲家の作品で重要なのはやはり現代音楽の分野かと思います。もう亡くなって20年以上経つので、今の最先端から見るとまだまだおとなし目といいますか聴きやすいのですが、音響効果に対する情熱には激しいものがあると思います。中でも「カンパノロジー」という作品では「鐘」の音を電子スタジオで分析して、電子音などで再現するということを早くから行っていました。「カンパノロジー」をオーケストラの楽器で再現するという(現代音楽の中の一つの流れ、スペクトル楽派に数十年も先んじていたんですね)楽章を含む仏教の宗教音楽といえる交響曲(メシアンの「トゥーランガリーラ」交響曲的な作品)がありますし、私の好きな「BUGAKU」は第15回尾高賞を受賞しています。これは現在音源を入手することがなかなか難しいため紹介する機会はありそうもないので、ここで紹介してしまいますがバレエ音楽です。この二部からなる「BUGAKU」はお勧めなので、ショップで見つけたら聴いてみてください。そうですね、Youtubeでも見つけることができるかもしれません。

(追記)BUGAKUのCDがありました。推薦盤をご覧ください。

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ミュージックコンクレートの日本での先駆者でもあります。一言で言えば具象音を録音して組み合わせたテープ音楽です。それで、「立山」から入ると黛敏郎の現代音楽はどれも奇妙に思えるかもしれません。Youtubeで検索したところ、未完のまま絶筆となった「パッサカリア」を聴くことができます。やはりただ者ではないな~と思って聴いていると突然バッハが顔を出したり、そのうちベートーベンが出てきたところで終わっています。さてどんな作品をもくろんでいたのかと思うと惜しいですね。


【HQCD】 黛敏郎: 交響詩「立山」 / 黛敏郎指揮, 東京交響楽団<タワーレコード限定> ¥2,160

楽天ブックスでは「取り寄せ」ですが、¥1,944で出ていました。上手く入手出来れば少しお得です。

紹介に含めた「BUGAKU」の音源があることに気づきました。


【CD】 タルカス クラシック meets ロック 吉松隆 ¥2,592
よもやここに収録されていたとは。メインは、エマーソン・レイク&パーマーの「タルカス」(吉松隆編曲)ですが、次に収録されています。ライブ音源です。ホルンのグリッサンドが何度聞いてもかっこいいです。第一部はLento。始めは弦楽器のグリッサンドが互いに呼応しながら、徐々に雅楽を思わせる響きになっていきますが(最初のうちは訳が分からないかもしれません)、少しずつ少しずつ力を増していき、全体には緊張感のある中にもゆったりとした印象を残します。終結部ではだんだんと静まり、筝の音を模したようなピチカートを残して消えるように終わります。第二部はModerato。現代的な響きが多くなり、幾分軽やかになって徐々に活気と重厚さを増していきます。ここでも法螺貝を思わせるホルンの素早いグリッサンドが聴かれます。かなり変化に富んだ曲想ですが、再び第一部のイメージに戻って荘厳に幕を閉じます。このアルバムには他にドボルザークの弦楽四重奏曲「アメリカ」を吉松隆がピアノ協奏曲に編曲したものが収められているなど、2010年の収録ですがなかなか意欲的なところがあります。こうした取り組みは好き嫌いが分かれるところかもしれませんが、アルバムとしてなかなか面白いものだと思います。今度はBUGAKUの吹奏楽版なんかどうでしょうね。弦楽器のグリッサンドは再現しにくいかも…。さてBUGAKUは何度も書きますがバレエ音楽です。が、上演される機会に恵まれていないのか噂を聞いたことがありません。いったいどんな振り付けがされていたのかなと思っていたところ…


【DVD】 Balanchine: New York City Ballet in Montreal Vol.5 ジョージ・バランシン 、 ニューヨーク・バレエ団 ¥4,596
なんとバランシンが振り付けた映像が残っていました。こちらでは前座的な扱い(?)ですが、興味津々です。もちろん、というかなんというか未視聴です。

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