続けてラヴェルのピアノ協奏曲です。「左手のための」が最初の作品で、こちらは2曲目の(最後の)ピアノ協奏曲になりました。実のところ、この曲の作曲の方が先に始まっていて、「左手のための」の依頼があったためにラヴェルは同時進行で作曲を進めていきます。そして「左手のための」が先に出来上がってしまいました。ト長調の協奏曲はそれから1年後にようやく完成を見ます。
とにかく楽しい曲です。とても「左手のための」と同時に書いていたなんて信じられません。目一杯やる気をいただきましょう。第2楽章はリラックスにも最高です。
これは両手のために書かれています。三楽章形式です。オーケストラの編成は小さく、こじんまりしているのですが、出てくる音は決してちんまりなどしていません。ラヴェル一流のオーケストレーションによって第一級の作品になっています。
今ではもうメジャー曲といえるかもしれません。
第一楽章:「パーン」というより「パチ」ですね。鞭の音で始まります。もちろん本物の鞭ではなく鞭の音を出す打楽器がちゃんとあるのです。皮を張った二枚の板を打ち合わせるような楽器です。細かなピアノの動きに載せてフルートが、続いてトランペットがメロディーを吹き鳴らします。ピアノはゆったりとしたメロディーを演奏します。色々な楽器がそれぞれ特有の表情で演奏されるのはさすがラヴェルだと感心させられます。少し古いジャズっぽいイメージがあります。締めは元気一杯です。
第2楽章:ワルツですが、右手は3/4拍子で書かれているのに対し、左手は6/8拍子で書いてあります。それで、三拍子で書かれていますが、それはあくまでもメロディーの方です。伴奏は実は倍の速さで演奏されていると考えて大きな間違いはないでしょう。楽譜を見るとよくわかると思います。とてもノスタルジックでロマンティックな楽章です。近代的な不協和音もいくらか用いられていますが品よくまとめられています。ほっと一息つける名曲ですね。
第3楽章:全体がリズムで構成されているような楽章です。長いメロディーはありません。とても面白いことにそのことにはあまり気が付きません。楽章の最初の元気の良いリズムと同じリズムで全曲を閉じます。
ラヴェルとしてはモーツァルトを意識していたようですが、果たしてそう聞こえますでしょうか?微妙なところです。しかし、茶目っ気たっぷりで思わせぶりで気まぐれで、それでいて全曲に統一感のあるところなどは、んー、そう言われればそうなのかもとも思わせます。
楽しい気分の時に聴く楽しい曲、そんな音楽のように思います。
予告通り、推薦盤は「左手のための」と同じです。別に手抜きじゃありません。いいものはいい、それだけです。
ラヴェル:ピアノ協奏曲ト長調 左手のためのピアノ協奏曲 高雅にして感傷的なワルツ ¥1,728
あのブーレーズとツィマーマンの完全主義者タッグです。現代の演奏としては鉄板でしょう。
これは名盤なり。天才ピアニストと名指揮者の歴史的レコーディング。リマスター済み。
レコーディングは上記と同じですが、SACDハイブリッドなので対応機器をお持ちならさらに高音質で楽しめるでしょう。高いですけども。
残念ですがAmazonからはこれ一枚。タワレコで紹介したものと同じです。プライム会員ならお買い得。内容は折り紙付き。Amazonにはもう少し頑張ってもらいたいですね。
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