スティーブ・ライヒの世界-その7。光を探し求めて。ライヒ:「砂漠の音楽」

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だんだんと陽が短くなり始め、肌寒い日もでてきました。あんなに夏の暑さに苦しめられたのに、やはり寒くて暗いのは苦手だなぁと勝手なことを思ったりします。そんな中、苦悩の内に一筋の光が差してくるような音楽を一曲。

ライヒ(そろそろ正しい発音、ライクとすべきかもしれませんが)のオーケストラと合唱のための作品です。最初期にはセリフが音楽に昇華されていましたが、パルスが重要な位置を占めるようになってからは、「声」が言葉ではない「音」として使われる作品に移行していきます(「18人のミュージシャンのための音楽」など)。それがこの作品では歌詞を持った「歌」が楽曲の中心をなしています。もちろんパルスも発声するのですが全体から見るとそれはごく一部です。

抜粋です。Iの終わり近くからⅢaが始まるところまででしょうか。

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険しい山に登る、その畏怖と達成感。黛敏郎:交響詩「立山」

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黛敏郎といえば、ある程度お歳の方なら「題名のない音楽会」の司会者といえば思い出されることでしょう。どちらかと言えば最先端を行く作曲家で、主要作品もいわゆる「現代音楽」に含められるものと思いますが、交響詩「立山」は非常に古典的なクラシック音楽と言ってよい作品です。映像とコラボした作品で「映像音楽」とでも言えばよいのでしょうか、映像を見たことがないのでよくわかりませんが、「映画音楽」ではないようです。

但し、この作曲家は映画音楽もたくさん作っており、日本初のカラー映画(フィルムも日本製という意味で)「カルメン故郷に帰る」といった、映画にご興味のある方には有名な作品もたくさんあります。「キューポラのある街」、「裸の大将」、「野獣死すべし(1959)」などなど。加えてアメリカ・イタリア合作の「天地創造」。これなどは若いころ私も見て、かなり原作(聖書)に忠実だなぁと思いました。

で、「立山」ですが、日本の「アルプス交響曲」と評する向きもあるようでしたが、特に時系列に登山の様子を描いたものではありません。と思います。山の厳しさ、険しさ、そして美しさが荘厳なまでに輝いています。

第一部「大地」

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ピアノの様々な技巧を楽しむ。ショパン:エチュード 作品10

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エチュード、つまりピアノの練習曲なわけですが、たいへん聴きごたえがありレコーディングも活発に行われています。ショパンの書簡によるとこの曲集は「画期的な練習曲」として書かれました。ショパンの言わんとしていたこととは違うかもしれませんが確かに画期的な練習曲ではあります。というのも、練習曲でありながらピアノ曲としての完成度が非常に高いということです。

ちなみにショパンのエチュードには作品10と作品25の二つの作品があります。今回は作品10についてです。

聴いていると確かに練習曲として書かれていることがよくわかります。一定のパターン、指の動き、左右の手の配分など緻密に計算されていることが聴き取れます。ショパンは音楽教師として生活していた時期もありますし、ピアニストに対する愛情が彼のどの曲からも感じられます。それは練習曲に限らず、ピアニストにとってより良い技巧を身に付け、難しい曲もただ単に難しくしているのではなく、表現力豊かな演奏に導くように書かれている、そんな風に感じます。加えて、他の楽器ではなくピアノでしか表現できない曲作りが彼をして「ピアノの詩人」と言わしめているのではないでしょうか?

いかにも練習曲らしい第一曲。ポリーニの演奏

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元気を出そう!簡素にして壮大な小交響曲。ヤナーチェク:シンフォニエッタ

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シンフォニエッタは小交響曲という意味があるのですが、実際には「小」とはいいがたいです。演奏時間こそそれほど長いものではありませんが、第一楽章のファンファーレに始まり、終楽章に回帰するまで実に緻密に作曲がなされています。

また、ヤナーチェクはモラビア出身の作曲家ですが、現在で言えばチェコに含まれる地域で、民族的な響きも感じさせます。

これは元気を出すのに大変良い曲で、本当は簡素な造りではないのですがスッと心に入ってきます。ガッツポーズも出そうです。気分がふさぎがちな時、やる気が出ない時などにお勧めいたします。

第一楽章:ファンファーレ。ノイマン指揮、チェコフィルハーモニー管弦楽団。

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集中力を高めよう。シェーンベルク:「管弦楽のための5つの小品」

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今回は、時代は前世紀初めのものですが、内容的には現代音楽に分類します。とはいえ、ハチャメチャに大騒ぎをしたり気をてらったりしたものではありません。この曲を聴くと非常に集中力が研ぎ澄まされる気がします。

シェーンベルクは、12音技法(12の音程を均等に使った音列をもとに作曲する)の創始者とされ、「無調」の作曲家ともされますが、実際のところ、彼は調性を消し去ろうとしたのではなく、むしろその逆に拡張しようとしたのだと思います。それまでの、ハ長調、ニ短調といった枠ではなく、音楽の瞬間瞬間の調性感を追求していったのではないかと考えられます。もっとも彼自身、その理念が充分に受け入れられる可能性を低く見ていて、大曲を途中で放棄してしまったりもしています。ですが、現在の私たちの耳は複雑化した調性にかなり対応できているのではないかと思います。

この作品は彼の比較的前期の作品で、後に改訂版が作られました。

サイモン・ラトルの指揮で(いかにも何かが起きそうな第一曲「予感」から始まります)

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