いまさら?今だからじっくり聴きたい。ピアソラ:「ライブ・イン・ウィーン」

joakantによるPixabayからの画像
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今回はクラシックではなくタンゴです。CDの紹介になります。タンゴといっても伝統的なアルゼンチンタンゴとは一線を画す、言わば異端のタンゴです。実際「タンゴの破壊者」と言われたことすらありました。

さて、皆さんもうよくご存知かもしれません。その名をアストル・ピアソラ。タンゴの枠にとらわれることなくクラシック、ジャズ、その他もろもろとコラボレーションして20世紀を猛スピードで駆け抜けていった作曲家・バンドネオン奏者です。すでに日本での一時のブームは過ぎましたね。

試聴機
「リベルタンゴ」。50秒くらいからメロディーが始まると、あぁあの曲かと思われることでしょう。でも最後まで聴くと…。今まで聴いていたリベルタンゴは何だったのだろうとさえ思えます。音質はいま一つなので感動が伝わるとよいのですが。

「リベルタンゴ」はピアソラの代表曲です。このアルバムにはこの曲を中心に珠玉の名曲が物凄く集中した名演奏で収められています。ピアソラというと曲の良さで知られていて、多くの演奏家(クラシック含む)が作品に惹かれて取り上げています。ですがどの演奏もはっきり言ってピタッと来ない。作品自体の持つメロディー、ハーモニーの美しさ、迫力、どれをとっても素晴らしいのですが、なぜかピアソラ自身の演奏でないと何かが欠落してしまうのです。
非常に不思議なことに思えるのですが、彼の作品は彼自身、また彼の楽団で完結してしまっているように思われます。しっかりと閉じられた世界で他の侵入はもちろん、追随も許さない、そんな風に感じます。

じっくりと鑑賞するに堪えるアルバムです。しっかりと構築されていながら情熱的で胸に迫ってきます。気分を高揚させ深い感動をもたらします。

ピアソラはクラシックの音楽家を志したことがあり、ヒナステラに学んでいます。さらに教育者として有名なナディア・ブーランジェに師事します。しかし女史に「あなたにはタンゴがある」みたいなこと(?)を言われてタンゴの可能性に注意を向けます。つまりピアソラの芯はタンゴ、ということだったのでしょう。

楽団を組織して比較的タンゴらしいタンゴを作曲していた時期もありましたが、五重奏団、六重奏団、八重奏団、九重奏団など時期によって様々な編成を組んでは新しい表現を創出していきます。中でも五重奏団(バンドネオン、ヴァイオリン、エレキギター、ピアノ、コントラバス)の編成は安定し熟成されたものと言えるでしょう。

このアルバム「ライブ・イン・ウィーン」はタイトル通りの内容です。有名な曲目としては最後に演奏される「アディオス・ノニーノ」です。「さよなら、お父さん」の意味で父親の死に際して作曲したものとされています。他はあまり知られていないナンバーかもしれません。それでもどの曲も素晴らしいの一言に尽きます。またこのライブの際の編曲が優れていて、他の録音もたくさんある「リベルタンゴ」の中でも、ベスト!と言える演奏を繰り広げています。この曲のこんなに格好いい終わり方は他に聴いたことがありません。

「アディオス・ノニーノ」ももちろん素敵ですし、私は「デカリシモ」も好きです。「極めてデカロ風に」(デカロはタンゴのミュージシャン)という意味ですが、さりげないイントロ、鼻歌で歌ってしまいそうなメロディ、高揚したエンディング、あっという間に終わってしまい(実際長い曲ではありませんが)、何度も繰り返して聴いたものです。
「ブエノスアイレスの夏」、「~の冬」、「カリエンテ(熱きものを)」、どれをとっても名曲です。そして名演です。

まさか自分がタンゴに興味を持つようになるとは思っていませんでした。異端のタンゴではありますが。いわゆるアルゼンチンタンゴも好んで聴くようになりましたが、どちらかというとタンゴよりもピアソラにはまったようです。はるか昔、学校を出てすぐだったと思いますが、FMでライヒの演奏を録音した際に意図せずに次の番組が続けて録音されていて、その中に「リベルタンゴ」が入っていたという、まさに偶然の出会いだったのです。こんなことがあるから面白いですね。本は本屋で買った方がいい、お目当てのものの他に掘り出し物に出会えるかもしれないから、というのと似ているかもしれません。もっとも、電子ブックも扱いが増えてきましたので眺めているうちに面白いものを見つけることも増えてはきましたが。

私は最初はレコードで買いましたが、その後CDも入手しました。廃盤になっていたのですが、気づかないうちにHQCDで再版されていました。すでにお取り寄せになっている販売店もあるようです。正直のところ感動はレコードが一番だったような気もいたします。今後はハイレゾ音源なども出てくることもあるでしょうね。

【HQCD】 ライヴ・イン・ウイーン ¥3,024

アストル・ピアソラ/ライヴ・イン・ウィーン 3,024円

 

 

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