いよいよ熱くなってきました。そろそろ梅雨入りでしょうか?いつものようにモーツァルトに元気をもらうのはいかがですか?明るく軽快なこのピアノ協奏曲。ですが第2楽章だけ異質なんです。前後の楽章の楽しさ、明るさとは対比がはっきりしたマイナー調なのはいいのですが、初めてこのメロディーを聴いたときはとてもモーツァルトとは思えませんでした。かなり暗い印象ではありますが重苦しさや晦渋とは無縁。むしろこんな時期に聴くと気持ちがすっきりと洗われるように感じることでしょう。
グリモーの透徹した音色で。中間部はモーツァルトそのものなんですけどねぇ。
なぜ最初に聴いたときにモーツァルトと思わなかったのか、その理由は次の動画をご覧ください。
確かに印象的なメロディーですけど、普通歌詞をつけようと思わないんじゃないでしょうか?でも作詞はさすがの松本隆さん(私はこの方は作「詩」家だと思う)、見事に歌曲になっています。またこのよじれた旋律を安定した歌唱力で歌い上げている薬師丸さん、すごいと思います。私は原曲を聞く前にこちらを聴いたがために非常に不思議な印象を抱くことになりました。そして原曲を聴いたときの驚きと言ったら!
最初から原曲を聴いていたらそれほど違和感なくモーツァルトととして受け入れていたのかもしれません。モーツァルトというだけで受け入れてしまう、いや受け入れざるを得ない、強いものがありますね。何せあの「音楽の冗談」の演奏後、奏者の一人に「演ってて気持ち悪くないですか?」とインタビューしたら、「モーツァルトだと思うと平気なんですよね」と答えていましたよ。
とはいえ決して吹っ飛んだ音楽ではありません。ごく普通に癒しのモーツァルトとして聴くことができるでしょう。軽快で軽く明るい、心浮き立つような無邪気な楽想。動-静-動でとても安定した心理状態を作り出すことができます。気分転換には最適かと。曲の長さはある程度ありますので少し長めの休憩時に良いと思います。
19番とのカップリングに加えてコンサート・アリアが収録されています。ピアノ協奏曲は「弾き振り」です!オケはバイエルン放送響。この人のピアノの音は本当に多彩できれいです。なぜかこのSHM-CD盤の方が輸入CD盤より安いです。こういうこともあるんですね。
こちらも弾き振りです。内田光子の録音は人気が高いようでタワレコではほとんど終売になっています。かろうじてこの盤がまだ少し入手可能のようです。全体的に温かみのある印象です。もう一つイギリス室内管弦楽団、ジェフリー・テイト指揮のものがあってそちらもなかなか趣のある演奏なのですが・・・。そちらの方はより華やかな感じかと。
こちらはちょっと異色です。ピアニストの児玉桃の演奏はメシアンの「ニワムシクイ」を聴くと先鋭で輝かしい現代的な印象を受けます。この協奏曲では硬質なしっかりとした音像が浮かびます。第2楽章では色とりどりに豊富で美しい響きを楽しめます。共に収録されている「月夜の蓮」はピアノ小協奏曲で、23番の協奏曲の第2楽章の響きが冒頭を含め時々奏でられるのだなと思って聴いていると最後に例の印象的なメロディーが姿を現します。いわゆる現代音楽ですので好き嫌いは分かれると思いますが、「モーツァルトへのオマージュ」という副題が示す通りの興味深いアプローチだと思いました。詳細は商品解説でどうぞ。
SACDハイブリッドで少し高価ですが残り少ないようでしたので挙げておきます。なんと言いますかとてもスタンダードかつ温かい演奏で、モーツァルトらしいリラックスして楽しめる演奏でとても素晴らしいと思います。ピアノソナタ第11番(トルコ行進曲付)とのカップリング。こちらも元気が出ます。
Amazonで少し安価に出ておりましたのでこちらに紹介しておきます。