新年度が始まって、また新たな気分で仕事や勉強に精を出しておられることでしょう。新しい環境に馴染むのに戸惑って、いささか気分が重い、ということもあるかもしれません。そんなときに一本の、いや一曲のカンフルがあります。
- どんな曲?
カバレフスキーが児童劇のために作った伴奏音楽です。第二曲は絶体に聴いたことがあるはずです。その中から10曲を選んで組曲にしました。児童劇向けだからといって侮ってはいけません。時代的には1904年生まれとのことですので現代ですが、児童向けならではの聴きやすさだけの薄っぺらい音楽とはまるで違います。彼は82歳までいわゆる「現代音楽」には背を向けて生きた、一本筋の通った作曲家であったと思います。
- どんな時に聴くとよい?
これはもう楽しい音楽ですので、とても気分が良くなります。5月病対策にもなるかもしれません。もちろんじっくりとした鑑賞にも堪える組曲ですよ。
どうしても印象が運動会とかさなって、B級作曲家と、軽く見られがちかもしれません。実際20世紀の作曲家たちからは時代遅れ(?)のあまり重要ではない人物とみられることが多かったようです。いわゆる当時のロシアの体制寄りの音楽家ということで、大衆におもねったと思われているのでしょうが、与えられた環境と自分の持つ平易ながら深みのある創作の才能を追求していった、ある種の冒険家であったのではないかと考えています。
たいていそうではないでしょうか、一般大衆よりも、専門の同業者からの称賛をこそ望むのではないでしょうか?しかし、彼は「進歩的」な作曲家たちの軽蔑をものともせず、自分の信ずる道を進み続けたのです。
彼と似た作風を持つ作曲家に、ハチャトゥリアンがいます。今回紹介するCDはこの二人のコラボ+αになっていて、まあ拾いものを見つけました。+αがカットされているのに値段が倍以上の盤も出ていて、これはいただけません。結構慎重に探しているんですよ。
こちらはお勧めです。「道化師&仮面舞踏会」となっていますが、さらにチャイコフスキーの「イタリア奇想曲」、リムスキー=コルサコフの「スペイン奇想曲」まで入っているんです。「スペイン奇想曲」も近々紹介したいと思っています。CDの一曲目は、フィギュアスケートで一躍有名になった、ハチャトゥリアンの「仮面舞踏会」の「ワルツ」です。
もしカバレフスキーに興味をお持ちになりましたら、こちらはすべて彼の作品です。たくさんの作品を残しましたが、歌劇「コラ=プルニョン」からの組曲など有名どころが収録されています。
タワーと同じ推薦盤です。タワーにはジャケットがほぼ同じで、チャイコフスキーとリムスキー=コルサコフが入っていなくて高いものがありますので、ご注意ください。プライムだと1,000円切ります。すべて気分をアップする曲ですからお得ですね。
いずれにしても彼があのショスタコーヴィチと同じ世代の作曲家であるというのは驚きです。であるとともに、いや、そうなのかもしれないとも思われる作品です。カバレフスキーはある意味上手に立ち回ったともいえるのかもしれませんが、その純粋な音楽からは彼が決してこずるい人ではなかったことが感じられます。
Leave a Reply