冒頭を聴けば誰もが「あぁ、聴いたことがある」というほどの超有名曲。もしこれまで機会がなければ、ぜひ全4楽章を通して聴いていただきたいと思います。
この曲をお勧めするにあたって、入手可能なものから検討していたのですが、今回ほど悩んだのは初めてかもしれません。
曲は4つの楽章からなります。
第1楽章は「ソナチネ形式の小品」です。指揮者によるでしょうが「小品」というわりには、全曲の中で一番長いです。ハ長調というところがミソで、ストレートに心に飛び込んできます。一日の生活の中では不本意なこともいろいろとあるでしょう。でも、とても素直な気持ちになることができます。
ハ長調とはいえ平行調のイ短調「ミ・ラ・ド」に始まり「ソ・ド・ミ」のハ長調で結ばれる有名なハーモニー。長調なんですが、何か哀愁を帯びているのですね。といって少しもひねくれていない。もうここで泣いてもいいかな? と思うか、古いCMを思い出して笑っちゃうかですね。本心あのCMで使われたこと、心外です。
曲調はゆったりした部分を経て、バレリーナのステップを思わせる軽快な部分に入り、この部分は影があるようでいてとても明るいです。そして冒頭に戻ります。結びもとても素直です。
第2楽章はワルツです。交響曲の中に出てくる舞曲と同様のやさしさを感じます。リズムに関しては彼一流の策を弄して(?)、聴き手を煙に巻いてくれます。とはいえ懸命にリズムを追うのではなく素直に振り回されているととても心地よいですよ。
第3楽章はエレジー(哀歌)ですが、出だしは全く悲しげではありません。「悲愴」感がないのですね。ほろ苦い思い出、とでも言ったらいいでしょうか、悲しみに沈んでしまわないところがまた良いところです。
第4楽章、フィナーレは前楽章の終止和音から始まり、再び第1楽章のハ長調に戻ってきます。元気良く、ロシアらしさも少し感じさせる、アカデミックなチャイコフスキーならではの絶妙なバランスが保たれています。再度有名な冒頭のテーマが演奏されます。が、すぐにテンポアップして元気良く、しかし慎ましく曲を閉じます。
さて、推薦盤についてですが、この曲は4楽章あるといっても比較的短い曲ですし、他の曲とともに収録されていることがほとんどです。また、良い演奏がすでにBOXセットになって高価(一曲あたりは安いですけれど)になっていて単品がないという理由もあります。スヴェトラーノフのBOXも良さげなのですが、内容に幅がありすぎて…。収録曲のバランスを考えて楽しんでいただけそうなものをチョイスしました。複数店舗で扱いのあるものは安い方を掲載していますので、もし別店舗で入手される方はバナーがリンクになっていますので、そちらから検索してみてください。
チャイコフスキー:1812年◎ロシア管弦楽名曲集 ヴラディーミル・フェドセーエフ 、 モスクワ放送交響楽団 ¥2,057
収録内容が良く、おすすめです。来日記念リマスタリング盤とのことです。
こちらもよい選曲ですが、録音は1960年のものになります。記録としての価値のほうが高いかも。
7枚組の中にピアノ協奏曲とともに収録されています。細部までしっかり聞かせてくれるムーティは大好きです。交響曲全集+αとなっております。
ドヴォルザークのほうは正直よくわかりませんが、よりアカデミックなチャイコフスキーをお楽しみいただけると思います。カラヤンはチャイコフスキーの交響曲とともに収録した盤も出しているので、よろしければそちらも探してみてください。
選曲が良いと思います。ロシア人かつカラヤンを継ぐ(?)者としてベルリンフィルとの共演。
絶大な人気を誇るサイトウ・キネン・オーケストラ。二枚組もあるようですが内容としてこちらで十分と思いました。
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