安らぎと励ましの交響曲。メンデルスゾーン:交響曲第4番「イタリア」

Kirk FisherによるPixabayからの画像
このページにはプロモーションが含まれます。
  • どんな曲?

メンデルスゾーンが20代初めに一年足らずイタリアに滞在したときの印象をもとに作曲しました。20代のうちに改訂版も作ったという、40歳を待たずして亡くなってしまった天才作曲家の傑作です。イタリア音楽の影響は強くはなく、もっぱら自然の美しさやイタリア絵画の影響を受けたと言われます。天才ゆえに作曲の苦労が音からは感じられない、モーツアルトの作品のようです(実は改訂版にもまだ納得していなかったという努力の人でした)。

  • どんな時に聴くといい?

風光明媚なイタリアの自然を思わせるこの曲は、安らぎを与えてくれます。激しい終楽章でさえとても平穏な気分に浸れます。交響曲としても比較的短いので、ちょっとしたブレイクタイムにコーヒーでも楽しみながら聴くと、その後の仕事や勉強もはかどることでしょう。ちょっと落ち込んだ時にも良いですね。

クレンペラーの名演。やや遅めのテンポ。YouTubeではPaavo Järviの演奏もお勧め

出だしを聴くと誰しも耳にしたことのあるメロディーが流れてきます。優美さの中にきらびやかなイタリアの明るい陽射しを感じ取れます。四つの楽章からなる正統派の交響曲ですが、明-暗-明-暗の順になっています。「暗」のところでもイタリアの明るく心穏やかな風景が感じられるのがミソです。私は特に終楽章が大好きで、短調で書かれているにもかかわらず、元気をいっぱいもらえます。

私がヨーロッパで行ったことのあるのはイタリアだけです。それもローマより南部だけ。確かに音楽だけ聴いているとイタリアのイメージとは直結しないのですが、彼が印象を受けた美しい自然は曲の中に織り込まれているように感じます。

第一楽章:短い導入部のあとすぐにヴァイオリンで有名なメロディーが流れます。光溢れる音楽です。まぶしくも陽気な太陽、きらめく海のさざ波が目に浮かびます。第一楽章だけでもほっと一息つくのに好適かと思います。小難しいところのない素直な音楽が心に響きます。まるで最初から「そこにある」ような曲ですが、そういう曲を書けるのは天賦の才と不断の努力があってこそなのでしょうね。

第2楽章:今度は短調の美しいメロディーが流れます。決して重々しくはない、覚えて口ずさみたくなるようなメロディーです。第一楽章もそうでしたが、長調・短調が入れ代わり立ち代わり現れます。この楽章でも全体には明るさがベースになっていると思います。ほとんどを徒歩で旅したと言われるメンデルスゾーンは、いったいどんな景色を見てどんな印象を持ったのでしょうか。

第3楽章:再び明るく、今度は大変穏やかな曲調になります。登山もしたというメンデルスゾーン。様々な風景を楽しんだことでしょう。時にベートーヴェンの「田園」の第一楽章やハイドンを思わせます。交響曲全体の中でも最も古典的に思われる楽章です。「イタリア」は決して描写音楽(標題音楽)ではありません。それでも彼の見ていたものを見、肌で感じたことを共に感じている気分になります。

第四楽章:ここではイタリアの舞曲のリズムがはじけます。引用ではないと思われますが、リズムはいわゆるタランテラ(タンタタカタ・タンタタカタ)です。サルタレッロというイタリアの舞曲なのだそうです。激しい導入部であっという間にサルタレッロに引き込まれます。そして木管楽器によって心弾むメロディーが演奏されます。リズムは引用したものの旋律はオリジナルのようですね。特にイタリア的ではありません。私は切り立った断崖に波しぶきが打ち付けるような導入部だと感じましたが、すぐに弱音になり、徐々に力強さをまし、またそれを繰り返します。要所要所でタランテラのリズムが強調されます。徐々に力を弱めていき、最後一気にクレッシェンドして終わります。

今回は迷わないように絞ってお勧めいたします。

【SHM-CD】 メンデルスゾーン:交響曲第3番≪スコットランド≫ 第4番≪イタリア≫ 序曲≪フィンガルの洞窟≫ クラウディオ・アバド ¥1,836
いまだに生きているような気がする、そんなアバドの指揮で。いつか紹介したいと思っている「スコットランド」も収録されています。比較的新しい盤でのお勧めです。

メンデルスゾーン:交響曲 第4番「イタリア」 シューマン:交響曲 第4番 オットー・クレンペラー ¥1,512

やや古い巨匠の演奏で。シューマンも素敵です。

 


メンデルスゾーン:交響曲第3番「スコットランド」& 第4番「イタリア」、序曲「フィンガルの洞窟」 アバド(クラウディオ)  ¥1,623


メンデルスゾーン:交響曲第3番「スコットランド」、第4番「イタリア」(クラシック・マスターズ) クレンペラー フィルハーモニア管弦楽団  ¥1,318

上記二枚はタワーと同じチョイスです。


メンデルスゾーン:交響曲第3番「スコットランド」& 4番「イタリア」 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 カラヤン(ヘルベルト・フォン) ¥1,439
やっぱりカラヤン。入れておきますね。

「イタリア」は演奏云々よりも楽曲の良さが前面に出ています。Amazonでは一部試聴できますからそちらを聴いて雰囲気をつかむのも自分好みの盤を探す方法かと思います。

(Visited 67 times, 1 visits today)

Be the first to comment

Leave a Reply

Your email address will not be published.


*


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください