非常に穏やかでリラックスする部分と、ダイナミックで興奮を誘う部分が入り交じる、大変バランスよく構成されたバレエ音楽です。バレエ音楽としては比較的珍しく合唱を含んでいます(全曲版)。明るくリラックスするのに適した音楽です。最後はやる気も出てきますね。全曲版は長いので、第二組曲を聴いてもよいでしょう。
発注者はディアギレフですが、彼が望んでいたような音楽にはならなかったようです。
ラヴェルは、様々なメロディをモチーフにして、全体を大きな交響的な作品にしたようです。ディアギレフが望んだようなリズミックな作品ではなかったのですね。しかも合唱がついているということでコストもかかりますし、考えてみるとオーケストラピットに入りきるのかというふうにも思えますね。
それでも頑固なラヴェルは譲りませんでしたが、結局妥協案として、重要性の低い(?)公演用に合唱抜きのバージョンを作りました。
今日よく演奏されるのは、第三部を抜き出して合唱を取り除いた第二組曲といわれるものです。この組曲でも十分にラヴェルの魅力を味わうことができます。それでもやはり彼が主張したように、合唱が入ると本当に生き生きしてきます。頑固というよりも、それだけ彼が大作曲家であった証なのかもしれません。
とはいえ合唱がなくても、それでもこの第二組曲の最初の部分にあたる、「夜明け」の部分の描写は様々な作曲家が挑んでいていますが、ラヴェルのものは本当に清々しく素晴らしいものです。とてもリラックスした気持ちになります。そしてフィナーレを飾る全員の踊りは、5拍子という変拍子を使用しながら全く違和感がなく、大変ノれる音楽となっています。
さしたるストーリー性はないのですが。愛するクロエが海賊にさらわれて、その後ダフニスと再会するまでが描かれます。
演奏に関して言うと、ラヴェルの緻密なスコアによるものでしょうか、極端に変わった演奏というものを知りません。異色なのは冨田勲のシンセサイザーによるものくらいでしょうか。そんな中で、緻密に分析しながらもなお理屈っぽくならないブーレーズの演奏と、繰り返しリリースされるミュンシュ版を推薦したいと思います。
Pierre Boulez Conducts Ravel & Debussy ピエール・ブーレーズ ¥2,736
こちらは6枚組で超お得。ドビュッシーとラヴェルの名曲集となっています。
全集のようなものはいらない、という方には「ボレロ」とカップリングされたこちらのCDがお勧め。録音も秀逸。ということで名盤です。
第二組曲ですが、名指揮者シャルル・ミュンシュがパリ管を振った名盤です。それが証拠に↓
2017/05/17に発売されます。こちらも第二組曲。ただし「亡き王女のためのパヴァーヌ」は割愛されているようです。
冨田勲の持ち味の拡張されたステレオ効果がふんだんに用いられた演奏。ラヴェルが管弦楽で表現しようしてた様々な音が具象的な響きでちりばめられています。第二組曲です。ただし、ボレロがフェードアウトで終わるのはいかがなものでしょう?
タワーで紹介した一枚ものです。こちらも繰り返し販売。
こちらもタワーと同じ2017/05/17発売盤です。
こちらも同様です。
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