分類が難しいですが、ジャズといえばジャズですし。クラシックといえばクラシックです。強いて言えば、カプースチンはジャズの語法でクラシック作品を書いている人、と言えると思います。時代から言えば現代音楽なのですが、聴きやすさからクラシックに振り分けました。
題名からするととても堅い感じがするのですが、大変伸びやかで明るく、とても元気が出ます。ちなみに題名を英語にすると、”8 Concert Etudes”ですから、ずいぶん印象が違いますね。
今回紹介するものは比較的穏やかというか、結構ポップなものです。カプースチンは結構、急進的な面もありまして、ピアノソナタの中には相当現代的な響きをするものもあります。いずれにしても、どの曲も演奏するのが非常に困難であることで知られています。この「練習曲」は私も楽譜を持っていますが、一番簡単そうに見えるものでも、実際に演奏しようとすると非常に難しいです。というよりほとんど弾けません。曲目一覧です。
1. 前奏曲
2. 夢
3. トッカティーナ
4. 思い出
5. 冗談
6. パストラール
7. 間奏曲
8. フィナーレ
録音としては作曲家自身のものがスタンダードですが、様々なピアニストがこの曲に挑戦しています。本人による演奏はテクニックもありますし、結構好感が持てます。
人によっては、ただジャズを早まわしにしているだけ、という人もいるそうですが、オリジナリティという点で考えると他に類例を見ないと思います。この練習曲についていえば確かにポピュラーな(どこかで聴いたような)感じがしますが、それでも独特であるといえます。実際フィナーレなど楽譜からは全く予想外の音が聞こえてきます。こうした曲をかなり以前から書いていたということは注目に値します。言いそびれましたが、アドリブはありません。すべての音は楽譜に書かれています。
ハマる人はハマると思います。ハマる人にはぜひピアノソナタなどを聞いて欲しいと思います。かなりアグレッシブな(現代的な)曲もあります。YouTube で探すことができるでしょう。
こういう曲を聴いていて感じるのは、時代を下れば下るほどジャンル分けというものに意味がなくなってきているような気がします。この作曲家もジャズとクラシックのフュージョンということができるかもしれませんし、クラシックを意識したジャズなのかもしれません。結局音楽は音楽ということなのかもしれません。無論すべて音楽がそうとは言えないでしょうけれども。
Kasputin: Jazz Pieces ニコライ・カプースチン ¥2,116
自作自演集です。他にも数曲含まれています。やはりこれが基本盤ということになるでしょうか。ジャケットはAmazon販売のものとは違うようです。
ゴルデラーゼの演奏は、作曲者自身の演奏と比べると幾分テンポを緩めて弾いています(決して遅くはないですよ)。このテンポで演奏されると何かとても温かい、人間的なぬくもりを感じさせます。今は廃盤となっている”Shan-Shan Sun”の爆速の演奏と比べると、「テクニックで聴かせるか、音楽性か」とまで言うと言い過ぎですが、正直、カプースチンの音楽の深みを感じさせられて驚きました。独自の「間」が好印象です。
多分、内容はタワー版と同じで、ジャケットが新しいのだと思います。
タワーで説明したとおりです。何より幸福感に満ちています。24の前奏曲も入っていてお得ですね。
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