涙のために。これはというCDをようやくピックアップできました。バーバー:「弦楽四重奏曲 第一番(弦楽のためのアダージョ)」

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今回はバーバー作曲の弦楽四重奏曲 第一番 作品11です。長らく紹介したいと思っていたのですが、本当に楽しんでいただけるCDを探し回りました。とりわけ、長い曲ではありませんので他の曲も収録されているわけで、全体のバランス、および下記のとおり大まかに言って3バージョンを取り上げたいと思いました。

原曲(弦楽四重奏曲)、原曲の第2楽章の弦楽合奏版、編成の大きな弦楽合奏版です。後者二つは別の版ではありません。私自身の中での分類で、あまり明確な区分けではないのですが、演奏スタイルが弦楽アンサンブルか弦楽オーケストラか、という程度の違いです。つまり規模ですね。指揮者の有無とか。

SampleMachine

まず原曲です。26歳の若さで作曲された三楽章からなる弦楽四重奏曲です。(ラヴェルは27歳で作曲。弦楽四重奏曲の作曲は難しいとされ、若年で作曲した二人はともに天才。バーバーは12年後に第二番も作曲しています)。そして、のちに第一番第2楽章を弦楽合奏に編曲したのが「弦楽のためのアダージョ」になります。第一楽章と第3楽章はモティーフはほぼ同じで、やや鋭い感じがあります。特に第3楽章は極めて短くまとめられており、時間にして全曲の一割強しかありません。もちろんそれで充実しています。さて、この間に挟まれた第2楽章はまさに夢見るような美しさをもっていますが、そこには何か深い哀しみが湛えられているようにも思われるのです。あるいは矛盾しますが歓び、または祈り。

弦楽四重奏という小編成でも激しい情熱や高揚感はしっかりと伝わってきます。これを規模の大きい弦楽合奏にして、一層の熱情、叫び、歓び、哀しみ、そして静けさをも表現しようとした(のではないかと思われる)版を私たちは最も耳にする機会が多いです。

この曲はアンコール・ピースとしても演奏されますし、コンサートの始めに演奏されることもあります。また、義父の追悼式が青山斎場で行われた時も、BGMの中の一曲として用いられていました。確かにそのような式典にそぐわなくはないと思いますが、曲を聴きこんでみるとあながち悲しみ一辺倒ではないので違和感があると言えばあります。

このページのカテゴリーは「弦楽のためのアダージョ」について付しているものなので、今回は”CDチョイス”ですのでCD全体には当てはまらないかもしれません。

さて、ではどんなすてきなCDを見つけたのか?

まず原曲の弦楽四重奏曲 第一番 として見つけたのは、東京ストリングカルテットのCDです。全体がよくまとまっており選曲が抜群です。現代音楽中心ということで冒頭の武満徹作曲「ア・ウェイ・アローン」はもしかすると苦手な方もおられるかもしれません。でも響きのとても美しい曲です。続いてバーバー、そしてブリテンの弦楽四重奏曲。こちらも聴きやすいと思います。最後にバーバーの歌曲がボーナストラックで入っているのですが、これだけはちょっと「蛇足」かなと私は感じました。それでもこのCDは非常に魅力的です。

「弦楽のためのアダージョ」の比較的小編成のCDは、イ・ムジチ合奏団です。ずいぶん昔ですがビバルディの「四季」で日本で急に人気が出ました。それほどでもないという声もありますが、それほどでもあります。このCDのおすすめポイントはいわゆる「現代音楽」がなく、聴きやすく、全体にヒーリング系ということです。レスピーギの「リュートのための古風な舞曲とアリア」、エルガーの「弦楽セレナード」、そして映画音楽の大家として知られるニノ・ロータ(実は彼はクラシック音楽の延長線上にいる作曲家)がイ・ムジチのために書いた「弦楽のための協奏曲」という構成です。この構成は素晴らしい。

さて、いわゆる弦楽オーケストラとしては、二枚になってしまいました。一枚はやはりアメリカの音楽ということで、レナード・バーンスタインがロサンゼルス・フィルハーモニーを振った盤です。選曲・曲順はもう一息で、「アダージョ」が終わると最後に「キャンディード序曲」がドンと始まるので飛び起きてしまうかもしれませんね。ラプソディー・イン・ブルーに始まるとても楽しいCDです。もう一枚はすでにチャイコフスキーの「弦楽セレナード」で紹介した、ビシュコフがベルリンフィルを振ったCDです。こちらは全体にヒーリング系です。

おさめられている曲はどれも名曲ぞろいです。今回は「弦楽のためのアダージョ」をキーに四枚のCDをお勧めいたします。

ア・ウェイ・ア・ローン&バーバーのアダージョ~武満徹、バーバー、ブリテン:弦楽四重奏曲集 東京ストリングカルテット ¥1,944
方向性としては「現代」です。

レスピーギ:リュートのための古風な舞曲とアリア第3組曲 弦楽のためのアダージョ(バーバー) 他 イ・ムジチ合奏団 ¥1,296
一方こちらは「ヒーリング」です。

ガーシュウィン:ラプソディ・イン・ブルー コープランド:エル・サロン・メヒコ/アパラチアの春 バーバー:弦楽のためのアダージョ/バーンスタイン:≪キャンディード≫序曲 レナード・バーンスタイン ¥1,836
陽気なアメリカ音楽らしさを楽しんで、その中に光る「アダージョ」に癒される。
再版を繰り返しているようです。名盤の証かと。


ア・ウェイ・アローン&バーバーのアダージョ~武満、バーバー、ブリテン:弦楽四重奏曲集 東京クワルテット ¥1,934
くどいようですがPrime価格です。おそらく手放せなくなるでしょう。


レスピーギ:リュートのための古風な舞曲とアリア第3組曲/バーバー:弦楽のためのアダージョ 他 イ・ムジチ合奏団 ¥1,187
このようなジャケットです。ニノ・ロータが目立っていますね。


チャイコフスキー:弦楽セレナード/バーバー:弦楽のためのアダージョ、他 ビシュコフ(セミョーン) ¥1,480
「愛」にあふれるCDです。


東京クヮルテット/ア・ウェイ・ア・ローン&バーバーのアダージョ〜武満徹、バーバー、ブリテン:弦楽四重奏曲集(来日記念盤)(CD) 1,516円(送料別)


レスピーギ:リュートのための古風な舞曲とアリア第3組曲/バーバー:弦楽のためのアダージョ 他 1,296円(送料無料)


ガーシュウィン:ラプソディ・イン・ブルー 他 (送料無料)

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