含蓄のある笑い。「Show must go on. (幕を下ろすな)」

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三谷幸喜の喜劇です。なんというか、おなかの皮がよじれるほど笑えます。この喜劇に「深い」と思わされるのは、その始まりと終わりにあると思います。またショービジネスに対する深い思い入れが表れています。

二人の裏方の男たちが舞台袖で話している。故伊藤俊人さんと、えっとのっぽの人。古畑に出てる。失礼しました西村雅彦さんでした。

一人芝居の舞台袖が舞台になっていて、佐藤B作さん扮する老俳優が劇中劇の出演者。
幕が開くと、この裏方たちが老俳優が到着する前をいいことに、「じじい」呼ばわりして、ずっと悪口を話し続けている。とても嫌な感じがします。

しばらくして主役の老俳優が登場。二人はひたすらへいこらしている。そして劇が始まり、様々なアクシデントが起き続ける中、二人を含めた舞台袖での奮闘が描かれる(観客には本舞台は見えず、音だけ)。それが喜劇の枢軸をなしているのですが・・・・。

舞台が終わり俳優は帰る。へいこらと見送る二人、そのあと彼らはまた老人の悪口を話し続けるのですが、これはいったいどうしたことでしょう。内容は幕開けとほとんど変わっていない。それなのにちっとも嫌な感じがしません。むしろこの二人の裏方の老俳優に対する尊敬や愛着すら感じられるようになっている自分に気づきます。

このために本編のドタバタがあるのか?本編はもちろん喜劇として最高に笑えるものなのだが、結構な長丁場を見ているときには気づかない、裏方二人に対する見方の大逆転。

人は見かけによらぬもの、とは言いうものの、「見かけ」だけではなく「おしゃべり」でも人の本質ってなかなか見えないものなのでしょうね。

他にも、劇中劇の作家のシーン。練習に一度も顔を出さずに今になって「~でも良かったのに」みたいな言い訳がましいことを話しているのは、「作者ならもっと最後まで気持ちを込めて真剣に劇を作り上げろ」というメッセージかも。あとスタッフが全然時代考証・地理を考えずに「解決案」をゴリ押ししてくるのは、三谷幸喜自身の経験によるもの?他にも…とあまり自分の意見を述べるのは大概にしておいた方がよさそうですね。

とにもかくにも、一見の価値ありの、深くて、それでいてお気楽に笑える名作です。

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