とても全部は紹介しきれない。スメタナ:連作交響詩「わが祖国」から交響詩「モルダウ」

pkorzeneckiによるPixabayからの画像
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スメタナの作品の中でもっとも有名と思われる楽曲です。ヴルタヴァ、あるいはヴァルタヴァというのが元の発音らしいです。ドイツ語(英語も)で相当発音が違いますが、日本ではそちらの発音のほうが一般に通りが良いですね。

02c3d2e42fdc1a5b2302256347fe1a67-e1471856521793カラヤンの動画です。視聴回数がすごい。

曲の内容は、ささやかな水の流れが様々な景色の中を通って下り、大きな流れとなってプラハを過ぎていく様子を描いていきます。そして最後は大河に合流します。船に乗って下っていくというよりは、河の水の見た風景といいますか、水の流れそのものの描写ともいえると思います。

そういえば、サビの部分だけをコンパクトな合唱曲に編曲されたものを高校生の時に演奏したことを思い出しました。このメロディーはなんとも日本人好みだと思うのですがいかがでしょうか?

本当は「わが祖国」全曲を紹介すべきなのでしょうが、一曲一曲が独立していて(一部例外あり)、完成度の高いものでありながら、「連作」の文言通り関連もある複雑な構成で、「モルダウ」以外は機会があれば紹介させていただきたいと思います。

せせらぎに始まり、森を抜け、結婚式のそばを通り、日は暮れ、急流を下り、再びまばゆい光の中を自分の愛してやまない地を進んでゆく、そのようなイメージをスメタナはこの曲に込めたようです。連作交響詩の第二曲なので、他の交響詩との連携もとっています。曲の最後で勇壮に吹き鳴らされるメロディーが、第一曲の冒頭のハープと同じです。

以前に紹介したニールセンの交響曲第4番の或る箇所で、川の流れから村人たちの踊っている様子が見えるようだと書きましたが、その部分は雰囲気が似ています。

急流に差し掛かるときの迫力は満点で、この先どうなってしまうんだろうと思いますが、河幅が広がっていくので勢いは保ったまま、ゆったりと包容力のある響きとなります。

スメタナは聴力を失う病気にかかっていましたが、この時期には完全に失聴していたらしいです。それでもモルダウ完成後も残りの交響詩を書き続けるのです。

自分の聴くことのできない音楽を作曲し続けるという行為が正直のところよくわからないのですが(ベートーヴェンにしてもそうですね)、作曲家として生きる人々にとって(不利であることは否めないものの)、自分に聴こえるかどうかは必ずしも重要なことではないのかもしれません。他に進むべき道はない、そうした人々が真の作曲家なのかもしれません。でも、頭の中では意図した作品がはっきりと鳴っていたのでしょうね。

演奏はまずはノイマン、チェコフィルをお勧めしたいです。地元ですから。

 


【SACD】 Smetana: Ma Vlast ヴァーツラフ・ノイマン 、 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 ¥4,242


【CD】 Smetana: Ma Vlast ヴァーツラフ・ノイマン 、 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 ¥2,736
音質のことを考慮して、CDと流行りのハイレゾSACDも紹介します。

 


スメタナ:わが祖国 Blu-spec CD ノイマン(ヴァーツラフ)  ¥1,058
普通のCDプレーヤーで聞ける。安いけど高音質、Blu-spec CD…。難しいことはよくわかりませんが、良い演奏が安く手に入るのは良いことです。


モルダウ/カラヤン名曲コンサート Limited Edition カラヤン(ヘルベルト・フォン) ¥2,780
「わが祖国」からは「モルダウ」一曲のみの収録ですが、カラヤンを追加します。「名曲コンサート」の名に恥じない粒選りだと思います。すでに紹介したリストの交響詩「レ・プレリュード」も入っています。クラシック入門に最適、との評も。

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