ミニマルミュージックの御三家、フィリップ・グラス入門。グラス:「ダンスピース」

Eric BlochetによるPixabayからの画像
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初稿 2016年11月17日

元気が欲しい時どんな曲を聴きますか?こちらは元気が出ること間違いなしの、バレエのためのコンピレーション・アルバムです。

再びアメリカ音楽で、今回も基本、CDのご紹介になります。これはちょっと異色。作曲者自身が自作からいいとこどりで選んだ曲を、バレエ組曲としてまとめた作品です。フィリップ・グラスはテリー・ライリー、スティーブ・ライヒと並ぶミニマルミュージックの大御所です(他にもいるのですがこの三人は傾向が似ています)。初めて聴く人のなかには、同じところをぐるぐる回っていて頭が変になりそうと感じる向きもあるようですが、好き好きなのでしょう。この三人はそれぞれの個性も強いですし、時とともに作風も変化しています。今回お勧めのCDはこんな感じの出だしです。静かに始まります。

SampleMachine

本来ミニマルアートといいますと、「最小限の手間」で、場合によってはほとんど何もしないで製作されたアートを指す言葉です。アイデア勝負ですね。

例えばマルセル・デュシャンがスコップを美術館の壁にかけただけの「折れた腕の前に」という作品がそうでしょうか。

しかし、こと音楽に限っては何もしないというわけにもいかないようです。どちらかというと出てくる音が非常に単調であったり、変化が少しずつであったりほとんどなかったり、響きの面でミニマルと呼ばれているように感じます。実際、作曲に当たっては必ずしも手間がかからないとは言い切れないようです。

ちなみに、ミニマルに制作された曲もあります。横道にそれますがテリー・ライリーの”in C”という曲では53個の短いフレーズを記した楽譜があり、演奏者たちがかなりアバウトなタイミングでそれらを自由に演奏する、というものがあります。フレーズは短いですし、演奏者への指示は細かくありますが、生み出される多様なサウンドに比して「作曲」の労力は少ないともいえます。もっともコロンブスの卵で、こんなことを思いついた人はそれまでにいないので、そこがライリーのすごいところですね。機会があれば紹介します。

話を戻します。今回のタイトルですが、「グラス入門」なら「グラスワークス」ではないか?と通な方ならおっしゃるかもしれません。確かに「グラスワークス」はグラスの出世作と言えますし、非常に聞きやすいということもあって最初に聴くのに向いていることは否定しません。とても美しく、またパワフルです。それはまたの機会に。

入門としてこのCDをお勧めするのは、まず「グラスワークス」から2曲収録されていること、「In the upper room」から抜粋されていること、そして何よりも演奏の質が非常に高く、ものすごくハイテンションになれるからです。「グラスワークス」を別として、この演奏の収録されたCDを他に知りません。

前半の「In the upper room」は、 トワイラ・サープの振り付けによるバレエ音楽で、どちらかというとリラックス系、ヒーリング系のナンバーが多いですが、収録されている終曲などは目一杯元気です。「In the upper room」全曲のCDもありますが、それよりも演奏の質が高いです。マスタリングの違いではないと思います。1,2,5,8,9番が入っています。

後半はジェローム・ロビンス(「ウェストサイド物語」の振付師です)が振り付けた「ダンスピース」となっていますが、中身は先に述べたように「グラスワークス」からの2曲に加えて歌劇「アクナーテン」から「葬儀」の3曲からなっています。こちらは急-緩-急になっていまして、最後の盛り上がりは半端ないです。「グラスワークス」からの二曲はオリジナル音源からそのまま流用しているようです。

「アクナーテン」からの音楽はこの演奏が他の盤に収録されているのを見たことがありませんので、それだけでもお勧めしたいところです。クレジットを見るとパーカッション担当が「エミュ・レーター」さんになっています(笑)。やや古めのシンセサイザーのドラム音が聞こえますのでコンピューターとサンプラーを使用したものなのでしょう。

一時期、ちょっと目を離したすきにCDが無くなってきていたのですが、現在は潤沢ではないものの入手可能のようです。そしてやはり全集が出てきました。写真を見ると確かにお目当てのジャケットが含まれています。んー、最初から全集を買うなら「入門編」などいりませんね。タワレコでは全曲、一部試聴できるようになっていますから、気に入ったら聴いてみてください。

では、入手できそうなところからご紹介です。


フィリップ・グラス・エディションVOL 4::ダンスピーシズ フィリップ・グラス ¥1,944
来日記念盤のためジャケットは違いますが、内容は間違いありません。全曲、一部試聴が可能です。


Philip Glass – The Complete Sony Recordings<完全生産限定盤> フィリップ・グラス ¥9,821
こちらは全集です。右側の黄色いジャケットが狙いのCDです。下記も参照ください。


Dancepieces Philip Glass
うれしいことに2020年に再版が出たようです。確かに私がLP時代に買ったそのもののジャケ写です。価格も手頃でお勧めできます。なぜかTowerでは見つからず。

いやもう気に入った、BOXでいい!という大胆な方にはこちら。


PHILIP GLASS – COMPLETE Box set, Import ¥7,834 通常配送無料
ね?あのジャケットが確かに写っていますよね。タワレコより安いようですが残りがわずかのようです。

ついでなので「In the upper room」全曲盤もまだあったのでご紹介します。もうちょっとだけ元気な演奏だとご機嫌ですが。ボリュームを上げれば良いのかな?もちろんお勧めしています。上がTower、下の写真付きがAmazonです。こちらはTowerの方に分があるようですね。

Philip Glass: In the Upper Room / Twyla Tharp, Michael Riesman, Philip Glass Ensemble ¥2,116


Philip Glass: In The Upper Room CD, Import ¥ 2,421

また無くなると嫌なので、出世作「グラスワークス」も書いておきます。曲の紹介はいずれまた改めて。


グラスワークス(期間生産限定盤) Limited Edition フィリップ・グラス
こちらは上記のキラキラジャケット

Glass: Glassworks
顔写真のジャケット

Glass : Glassworks / Philip Glass Ens
また別の暗いジャケットに変わっています。こちらはタワーです。お取り寄せになっています。

私も上のキラキラしたジャケットが欲しかったです。私の所持しているのは最初に紹介したCDと同じでグラス氏の顔写真になってます。

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