“Bad boy of music”はアンタイルの自叙伝です。
彼はストラヴィビンスキーの「春の祭典」に負けず劣らずのスキャンダルを巻き起こす音楽を発表しました。今聞くと、たいしてスキャンダラスではないですが、当時は非難ごうごう、一部の人々には評価される、といった状況でした。
それがアンタイルの代表作となった「バレエ・メカニック」です。
(「バレエ・メカニーク」の方が原題の発音に近いと思いますが、多くの販売店に合わせました)。
何度も改訂をしており、最終稿はやや小規模で曲の長さが短くなり、とてもイカした作品になっています。
初稿は善かれ悪しかれかなりの反響を呼んだようですが、当時の機械技術が曲の求めるレベルに達していなかったので、アンタイルの望んでいた演奏になっていなかったことも考えられます。ピアノラという自動ピアノを同期させるのも一苦労だったでしょう。ステージ中央に飛行機のプロペラを据えたりして、いずれにせよスキャンダルは「狙い」だったと思われます。
ちなみに最終稿には演奏機械は使われておらず、全ての楽器は人間が演奏します。ピアノ群、木琴群を含む打楽器の一団に加え、ベル、飛行機のエンジン音の録音などが使われています。稿によってはサイレンも。
(2017/01/22追記)
曲の始まりはガチャガチャッとしていますが、楽曲を一貫して流れるリズムで始まります。初稿と比べると二倍くらいの速さです。スピーディで勢いがあり、まさにメカニック。木琴の上昇・下降が繰り返され、ピアノも複数台でガンガン叩きます。やや静かになって木琴とピアノがユニゾンでメロディーを弾くと打楽器がなだれ込み、再び冒頭のモティーフに戻ります。いったん静かになりメロディーもリズムも断片的になります。その後徐々に力強くなり、リズムもつながってきて速さが戻ると新たなモティーフが登場して、様々な楽器に引き継がれて演奏されていきます。次第にリズミックになってきたかと思うと唐突にジェット機のエンジン音が”ゴーッ”とながれ、鍵盤打楽器群のグリッサンドが繰り返されるうちビートが戻ってきます。特徴的なリズムがほとんどの楽器で叩き鳴らされた後、冒頭のモティーフがユニゾンで狂おしく演奏され、一瞬の静止ののち激しく短く終結します。
(追記終わり)
彼のもう一つの傑作、ジャズシンフォニーもぜひ聞いてみてください。ネットで試聴するとピアノががちがちゃ弾いているところしか入っていなくて、ちょっとだけジャズが顔をのぞかせるので今一つ全体像がつかみづらいかもしれません。こちらも稿が色々あって、やはりまとまった最終稿がよろしいかと思います。リクエストがあればCDを探してみます。
一部試聴してみましたが、なかなか爽快感のありそうな演奏です。ペンギンのジャケットの先入観?
(1,393円/セール1,142円)
タワレコで絶賛。確かに手堅いかも。最終稿ではありません。ピアノ四台と打楽器というアグレッシブな編成です。
(2,581円/セール2,116円)
こちらは指揮者のラインベルト・デ・レーウの集大成(75歳ということ?私が最初に聴いたのは40年前ですから計算は合いますね)。8枚組でお値段がちょっと高いのが残念。でも、オランダ管楽アンサンブルを率いているので、これがライブなら私が最初に聴いたものそのものになります。大盛り上がり、最高でした。ジャズ・シンフォニーもコンパクトなおそらくは最終稿。こちらもお勧めです。
(5,497円/セール4,508円)
なぜかCD-R。内容は良さそうですのでご紹介します。あ、こちらは原典版です。取り扱い注意。
(2,473円/セール2,028円)
未聴。(2,473円/セール2,102円)
こちらが手元にあるCD。どちらの曲も最終稿です。
中古ならあるようです。
(1,512円~)
それと、タワレコにあった原典版を一つ
(2,102円)
さて、原典版や他の稿もほとんど廃盤となっている今、そう、Amazonのデジタルミュージックが頼りです。
見るからに若々しそうですね。(1,500円)
(900円)
ここ以降は曲が全部入っているのか?というくらい安いです。サンプラーなのでしょうか?
聴きたい曲のみダウンロードしてもよし、未知の世界に足を踏み入れてもよし、ですね。
(1,200円)
(600円)
私の手元にあるCDです。これが原典版と聞いていましたが、テンポは非常に遅いです。メンデルスゾーンの「イタリア」の第四楽章を8台のピアノの自動演奏で聞かせてくれるのですが、大変興味深いです。
(1,050円)
でこちらも初演版と銘打っているのですが…。
(1,600円)
(1,500円)
楽曲の内容の説明を少し加えました。