バレエ音楽ですが、全曲演奏されることはまれで組曲版がよく知られています。と言っても時間も大して変わらないし、独唱者がいないくらいの違いですが。
もともとバレエ・リュスのために古楽のペルゴレージの作品を編曲したものと言われていましたが、ペルゴレージ以外の曲も使われていることが現在ではわかっています。いずれにしても、音楽は作曲ではなく編曲と言っていいでしょう。
しかしそれでも、あのストラヴィンスキーのことですから、見事にまで隙のない編曲を行っています。
バレエ自体はイタリアのコメディア・デラルテを構想の元にしています。
選ばれた曲目、特に本来あった歌詞(全曲盤では歌われる)は、本筋とは全く関係がなく、例えば「羊が穏やかに草を食んでいる」といった内容の歌詞があっても、筋には何にも繋がりがない、といった具合です。
組曲は、
Sinfonia
Serenata
Scherzino
Tarantella
Toccata
Gavotta con due variazioni
Vivo
Minuetto
からなっており、全曲盤と10分程度しか違いがありません。ほとんどの曲が快活・ユーモラスで聴き手を明るい気持ちにします。気の滅入るときに聴くと効果は抜群です。あっという間に終わってしまうのが残念ですが。
なおこの曲には、ヴァイオリンとピアノ版など「イタリア組曲」として知られるいくつかの版があり、どれも楽しいものですが、やはり小管弦楽による組曲、ないしは全曲盤がおすすめです。
初めて聞いたなら、ストラヴィンスキーが関係しているとはまず思わないでしょう。しかし全くの古楽ではなく、何か現代的な響きがするようには聴こえるかもしれません。ストラヴィンスキーはあまり自分を前面に押し出そうとはせず控えめな編曲になっているようですが、その後の彼の作曲活動に及ぼした影響を感じ取ることができます。
Haydn: Symphony No.101 “Clock” Stravinsky: Pulcinella Suite; Shostakovich: Symphony No.9, etc (1949-56) / Otto Klemperer(cond), Orchestra Sinfonica Nazionale della RAI オットー・クレンペラー 、 RAI国立交響楽団 ¥2,028
二枚組で「楽しい」音楽満載。指揮はかのクレンペラー
こちらは火の鳥との組み合わせでバーンスタインはいかがでしょうか?
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