原曲って何だろう。ヘンデル:組曲「王宮の花火の音楽」

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華々しく明るい曲です。元気が出ます。

戦争の終結を祝って催された花火大会のために作曲されました。もともとは軍楽隊によって演奏するために作曲されましたので、大規模な管楽器のための曲でした。そののち管楽器を減らし弦楽器を加えて、管弦楽合奏版に編曲しました。ですから、原曲からすぐに自分自身で編曲がなされたわけです。その後今日のオーケストラのために編曲されました。ですからほとんどの場合、私たちは原曲ではなく編曲を聴いているのです。

序曲(全五楽章です)

とは言うものの、バッハの曲にしたところで原曲を聴いているとは言えないでしょう。一つには楽器が違うという理由があります。さらに、演奏方法も現代とは異なっています。

前者についてはピリオド楽器という表現がありますし、後者についてはピリオド奏法と表現されたりします。これには、作曲当時の聴衆がどんな響きを聴いていたのか知るのには役立ちます。

厳密に言えば作曲者が意図したとおりの曲を聴くのが筋というものでしょうが、私はどちらかというと今日の管弦楽に編曲されたものを聴くのが好きです。言葉が時代とともに変わっていくように、音楽の響きも時代とともに変化してきました。もちろんピリオドを否定する気はさらさらありませんが、現代のオーケストラに耳が慣れているのでしょう、迫力や感動を覚えるのはやはり現代式の演奏方法です。

これは一人一人個人差があるでしょうね。どちらでなければならない、といった問題ではなく、好きなものを聴けばよいですし、他方は鑑賞の参考になることでしょう。

ということで、推薦するのは現代のオーケストラ版ですが、古楽のセットも紹介したいと思います。このセットの中には最初に述べた祝賀会で演奏された管楽バージョンと作曲者自身の編曲による管弦楽合奏版が含まれています。

クラシック音楽の世界では編曲はかなり大きな部分を成していると思います。例えばピアノ曲の管弦楽編曲などでは、ムソルグスキー=ラヴェルの「展覧会の絵」が有名ですね。バラキレフのイスラメイのように探せば幾らも出て来そうです。逆バージョンとしては、ベートーヴェンの交響曲はリストによってピアノ曲に編曲されています。そういえばエルガーの「エニグマ」変奏曲もピアノ編曲された楽譜が売られていました。リムスキー=コルサコフのように他人のアレンジを変えてしまう人もいます。もちろん善意からでしょうが。

さらに言えば、バッハのフーガのように元々演奏する楽器を特定(想定?)していないものさえあります。バッハの時代にピアノはありませんから、彼のピアノ協奏曲は本来チェンバロで演奏されたわけで、そうなるとバックのオーケストラも自然と変えなければなりません。

この辺りが絵画や彫刻と違うのでしょうね。音楽そのものは古代からあるわけですが、純粋に鑑賞用の西洋音楽の歴史はまだまだ短いといえるでしょう。二百年か三百年にも満たないでしょうか?歴史はあまり詳しくありませんが。吟遊詩人とか、舞や踊りに付随するものであればもっと古いかもしれませんし。ところで、箏とか三味線とか尺八とかいつ頃からあるんでしょうねぇ(と言っておきながら多分調べません)。

 

チャイコフスキー: 交響曲第4番; ヘンデル: 王宮の花火の音楽<タワーレコード限定> ジョージ・セル 、 ロンドン交響楽団 ¥1,234
意外な取り合わせですが、チャイコフスキーの方に演奏ミスがあったらしく、セルの死後10年間お蔵入りとなっていたそうです。ヘンデルの方はすぐ発売され大好評となりました。編曲はハーティです。音質も良いとのこと。録音は1961年。もしチャイ4との組み合わせがしっくりこないようでしたら、Amazonで推薦した方を見てください。多分タワーにもあると思いますが…。ありました。こちらです。
ヘンデル:水上の音楽/王宮の花火の音楽、他 ジョージ・セル 、 ロンドン交響楽団
録音は1961年です。同じテイクのようです。

ヘンデル:水上の音楽 王宮の花火の音楽 ラファエル・クーベリック 、 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 ¥1,234
意外な感じですね。こちらには同じヘンデルの「水上の音楽」も含まれています。響きはやはり現代の私たちに馴染むもの。こちらは「花火」の方に編曲者のクレジットがありません。

Handel: Complete Orchestral Recordings トレヴァー・ピノック 、 イングリッシュ・コンサート ¥4,088
こちらは古楽まっしぐらですが、特に興味深いのは初演の「管楽合奏版」と作曲者自身の「管弦楽合奏版」が入っているところです。高いんですが11枚組ということで。「ヘンデル入門に」と宣伝されておりました。何せ「コンプリート」ですから。

 


ヘンデル:水上の音楽/王宮の花火の音楽 ガーディナー(ジョン・エリオット)  ¥1,508
こちらは古楽の演奏になります。正直詳しく知らないのですが試聴したところ、重たくならずといいますか、かなり軽いテイストと見ました。Amazonでは一押しになっていますので、当時の演奏を偲ぶには最高なのだと思います。


ヘンデル:組曲「王宮の花火の音楽」、組曲「水上の音楽」 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 クーベリック(ラファエル)  ¥1,131
こちらはタワーで推薦した一枚。こちらでは二番目に取り上げられていました。さすが。


ヘンデル:水上の音楽 セル(ジョージ) ¥942
そしてこちらもタワーで追加に推薦した盤です。「水上の音楽」とカップリング。デッカ盤とのことで、収録年は1961年。ロンドン響です。同じ録音ですね。「水上の音楽」の方はハーティの編曲にセルがさらに手を加えたものになっているそうです。かなり良さそうですね。

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