気さくで癒し系のバッハはいかが? J.S.バッハ「コーヒー・カンタータ(おしゃべりはやめて、お静かに)」

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この曲を初めて聴いたのは高校の音楽の授業の時だったと思います。バッハということで身構えていた生徒たち(私たち)は、曲と歌詞とのあまりの落差に椅子から転げ落ちた、というのは大げさ過ぎですが、翻訳の歌詞を見ながらくすくすと笑っていました。それほど、バッハというイメージからは程遠い歌詞でした。あっけらかんとした喜劇的な歌詞につけられたのは、まさに心洗われるような音楽だったのです。

バッハは、厳粛な宗教音楽をたくさん書いており、カンタータというと教会カンタータをイメージするほどです。一方、世俗カンタータという分野の、礼拝とは無関係の作品も残しています。その中でもとりわけ有名なのがこの、通称「コーヒー・カンタータ」です。本当の題名の方が「おしゃべりはやめて、お静かに」なのだそうですが、高校では正式の題名を聞いた覚えがありません。忘れただけかも?

作曲した経緯がまたふるっています。

「ああ、何てコーヒーはおいしいんでしょう」。ソプラノ:エリー・アメリング。<モバイルではヘッドホンをロングタップして開いてください。音が出ます>

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厳しさの中の緩徐楽章に癒される。J.S.バッハ:ピアノ協奏曲第5番 BWV.1056

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全体としてはヘ短調の気持ちやや重い曲です。冬の厳しさを感じます。しかし三楽章形式の第二楽章、緩徐楽章がなんともいえず温かく心をとろかします。ビバルディの「冬」もそうですが、協奏曲の緩徐楽章は何という美しさを湛えているものなのでしょう。モーツァルトのクラリネット協奏曲しかり、バーバーのピアノ協奏曲しかり。まさに作曲家の腕の見せ所なのでしょうね。

この協奏曲は全楽章合わせても10分足らずの短い曲ですが、さすがはバッハというべきか密度の高い澄み切った音楽です。非常に聴きやすい、と言うと語弊がありますが、小難しいことを考えなくても素直に聴くことができます。もちろんバッハの時代ですから独奏楽器はチェンバロだったわけですね。

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早くも冬を感じるこの季節にほっこりと。J.S.バッハ:「ゴルトベルク変奏曲」

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今年は何となく秋が短かったように感じます。自然災害が多く、秋の風情を感じるゆとりがなかったからかもしれません。被災地の方々にはお見舞い申し上げます。既に寒さが増してきているようです。日なたにいるときは温かいのですが、風が冷たいです。

こんな時期には、心をほっこりと温かくする音楽を聴きたくなります。大バッハの「ゴルトベルク変奏曲」は、もうメジャー中のメジャーですが、演奏会などではあまり取り上げられることは多くないように感じます。

 G.グールドによるピアノ演奏による主題(アリア)

 チェンバロ演奏による主題(アリア)

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原曲って何だろう。ヘンデル:組曲「王宮の花火の音楽」

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華々しく明るい曲です。元気が出ます。

戦争の終結を祝って催された花火大会のために作曲されました。もともとは軍楽隊によって演奏するために作曲されましたので、大規模な管楽器のための曲でした。そののち管楽器を減らし弦楽器を加えて、管弦楽合奏版に編曲しました。ですから、原曲からすぐに自分自身で編曲がなされたわけです。その後今日のオーケストラのために編曲されました。ですからほとんどの場合、私たちは原曲ではなく編曲を聴いているのです。

序曲(全五楽章です)

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早起きして爽やかな朝の時間を。J.S.バッハ:管弦楽組曲第3番

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今日はバロック。一日を爽やかに始めるのにふさわしいバッハの管弦楽組曲第3番です。

序曲では、甲高いトランペットの響きで脳をすっきりとさせてくれます。第2曲は編曲されて有名な「G線上のアリア」となりました。ゆったりとした朝食タイムを演出してくれます。

リヒターの指揮。懐かしいLPです。

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調性の違いをあなたは聞き分けられますか?J.S.バッハ:「平均律クラヴィーア曲集」

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続けてバッハです。この曲集は、ハ長調の前奏曲とフーガ、次がハ短調の前奏曲とフーガ、嬰ハ長調の前奏曲とフーガ・・・、といった具合に24の調性すべてを使っています。それが2巻あります。

SampleMachineバッハ平均律クラヴィーア曲集No.1 聴き比べ
(ちょうど真ん中くらいからリヒテルの演奏が始まります)

しかし、このタイトルは誤解を招きます。「平均律」というと、オクターブを均等に12に分けた調律のように聞こえます。でもそれなら、どの曲も移調して演奏することができ、音高こそ違うけれども言ってみれはカラオケのキーを変えるようなものに過ぎません。

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陽気なバッハはいかが?J.S.バッハ:イタリア協奏曲

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音楽室に必ずと言っていいほど掲げられていたバッハやベートーヴェンの肖像画。今でもそうなのでしょうか?何か意味があったのでしょうか?多少は親近感を持てるようにという配慮だったのかどうなのか。

音楽の授業で聴かされる大バッハといえば、オルガンの曲で「トッカータとフーガ」とか「小フーガ」とかちょっと陰気な曲ばかり。小難しいおじさんというイメージが定着していると思うのですが皆さんはいかがですか?

第一楽章。<モバイルではヘッドホンをロングタップして開いてください。音が出ます>

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原曲 V.S. ピアノ版(演奏のヒント)J.S.バッハ=ブゾーニ:シャコンヌ

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最近広く支持されるようになってきたピアノ版。非常にさわやかでかつエネルギッシュですが、心が落ち着き癒されるナンバーだと思います。泣ける作品でもあります。

追記(2018/10/26)ピアノ演奏者のためのヒント本について追記しました。

原曲は言わずと知れた、無伴奏ヴァイオリン パルティータ 第二番 第6曲 シャコンヌです。たいへんにスケールの大きい音楽で、管弦楽に編曲されることもありますが、ブゾーニによるピアノのための編曲は群を抜いて素晴らしいと思います。
もちろんバッハとは時代が違いますので、バッハが鍵盤楽器向けに書いたなら全く違う曲になっているはずです。

ブゾーニは知る人ぞ知るピアニスト・作曲家で、本来チェンバロのために書かれたバッハの作品をピアノ譜にして校訂したり、オルガンのための曲をピアノ用に編曲したりしています。もちろんオリジナル曲もあります。中には長大なピアノ協奏曲などが。自身は超絶技巧のピアニストとして同時代の人々の称賛を得ていました。

02c3d2e42fdc1a5b2302256347fe1a67-e1471856521793原曲<モバイルではヘッドホンをロングタップして開いてください。音が出ます>

02c3d2e42fdc1a5b2302256347fe1a67-e1471856521793ブゾーニによるピアノ版

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