誰もがどこかで耳にしているはずの超メジャーな名曲。特に「白戸家」のおかげで「葦笛の踊り」は聴いたことがない人はいないのではないでしょうか?ですが、バレエのストーリーとなるとこれが存外知られていないようです。「白鳥の湖」とか「眠れる森の美女」など他のバレエはすぐに筋立てが思い浮かぶのですが。というのも二幕からなるこのバレエ、組曲版は第二幕から取られている部分が多く、そこにはストーリー性がないからなんです。では、いったいどんな話なのかというと…。
話の発端は、ある王子が生まれた際そこにいた人がネズミの女王を踏みつけて殺してしまったため、王子が呪われてくるみ割り人形になってしまうことです。この人形はどういう経緯か、少女クララのものになります。
クララが真夜中にくるみ割り人形を見に行くと、ハツカネズミの王様と軍隊が押し寄せてきます。くるみ割り人形の王子の指揮する人形の兵隊たちはこれに応戦し、最後は王様との一騎打ちになります。王子危うし、というところでクララがスリッパを投げつけてネズミを追い払い王子は九死に一生を得ます。そして起き上がるとその姿は人形から素敵な王子へと変貌しているのでした。
王子はお礼にクララを雪の国とお菓子の国へ案内します。お菓子の国では様々なお菓子の精が踊りを披露します。最後はクララが夢から目ざめてバレエは終わるのですが、お菓子の国でそのまま終わる振り付けもあるようです。
それで組曲では後半部分、つまりお菓子の国での踊りの宴が中心となっているのでストーリー性があまりないと言えるのですね。小序曲は第一幕のものでしょう。
1.小序曲。チェロとコントラバスを除いて演奏されます。その分少し軽い感じがしますね。不思議な世界が始まる「わくわく」を感じさせます。
2.行進曲。バレエを見たことがないのでどの部分で使われる行進曲かわかりませんが、これも何かかわいらしさを感じさせる曲です。
3.金平糖の精の踊り。第二幕ではこの金平糖の精が主役になります。きらきらと聞こえるチェレスタは発明されたばかりの楽器だったそうです。そしてこの楽器を使った初めての曲がこの「くるみ割り人形」ということになります。ちなみに「金平糖」は意訳で、実際にはロシアにあるお菓子の名前になっています。
4.ロシアの踊り(トレパック)。元気の良い威勢のいい曲で、コサックダンスを思わせる振り付けがされています。
5.アラビアの踊り。コーヒーの踊りということになっています。摩訶不思議な異国情緒あふれる曲です。
6.中国の踊り。いかにも西洋人がみた東洋という感じですが、可愛らしいですね。お茶の踊りだそうです。
7.葦笛の踊り。試聴機で聴けるように、穏やかで気取らない曲。フランスの踊りということになっています。
8.花のワルツ。まあこれほど有名な曲もないでしょう。これが終曲とお思いの方も多いのではないかと。実はあと2曲(細かく分けると5曲くらい)続きます。でも組曲としての結尾にふさわしい、そしてこれほど心を温かくしてくれる曲もそうないでしょう。
これらの魅力的な曲を聴いて眠りにつくと、素敵な夢が見られそうな気がしませんか?
ロミジュリでもご紹介した名盤ですね。早くも在庫わずかです。
こちらはBlu-ray Audioです。三大バレエがすべて入っています。CDプレーヤーでは聴けませんし、ビデオでもないのであしからず。
いや、自分はバレエそのものを観たいんだ、という方にはこちら。金平糖の精で活躍するのはあの吉田都です。三大バレエ入り。
Prime会員だと少し安く買えるようです。
これは懐かしい。知る人ぞ知る、アーサー・フィードラー指揮、ボストン・ポップス・オーケストラ!肩ひじ張らない演奏に好感が持てます。演奏は折り紙付き。以前紹介した「アルルの女」も入っていますね。