あの美メロを捨てメロに?心潤う。チャイコフスキー:ピアノ協奏曲 変ロ短調

明辉 李によるPixabayからの画像
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冒頭の雄々しいホルンの音で幕を開ける誰でも知っている(と思っている)ピアノ協奏曲。あの「タン・タン・タン・ターン」が2度繰り返されると名曲の開始に心もときめきます。

弦楽器で演奏される第一テーマも冒頭は「タン・タン・タン・ターン」のメロディーです。ピアノはハーモニーで伴奏に回ります。優雅・絢爛豪華、そんな言葉が似つかわしい気高いメロディーが奏でられます。

次に弦楽器がピチカートで伴奏に回るとピアノが第一テーマを少し洒落込んで弾き始めます。と、思うとピアノは途中からメロディーを外れて、あっちのほうへ行ってしまいます。「タン・タン・タン・#?{*¥!#%$」を何度か繰り返しながら宙に舞いがあっていきます。そして彼方の上空から降り注いできたかと思うと、再び弦楽器がテーマを演奏します。ピアノの伴奏は少しアレンジされていますがあまり変わりません。

そのあとピアノは「タン・タン・タン・タン」のリズムを冒頭に持つきらびやかな装飾的な音型を奏しますが、そのまま第一テーマは収束してしまいます。

そして、2度と出てこないのです!

こんなに美しいメロディーを開幕セレモニーのファンファーレのように使って、それっきり。なんてもったいない。
そして「チャイPコンね、知ってる知ってる」という人の中にもこの先がどうなっているのか歌えない人もいるのです。

よく「捨て曲」という言葉を聞きます。違ったらごめんなさい。アルバムを出すときに曲数が足りないので、ささっと適当に作ってヒットを狙わない曲、と理解していますが、正しいでしょうか?

このケースでは「捨てメロディー」ですよね。いや、もちろん捨てているわけではなく重要なイントロ(?)なんですが第一楽章の盛り上がりでもう一度くらい出てきそうなものですよね?

そのあとは、「タラッ・タラッ・タラッ・タラッ」か「タ・ラ・タ・ラ・タ・ラ・タ・ラ」のリズムの交錯する幾分アカデミズムから離れていくような田園風な曲調になりますが、この2つのリズムだけで曲を成立させてしまうのですからさすが!ややあって物憂げな旋律が弦からピアノへ、そして弦は夢見るような旋律を奏で、ピアノのアンニュイな旋律と呼び交わします。途中でピアノの迫力あるパートもあります。

管弦で物憂げな旋律と「タラッ・タラッ」を組み合わせるなど心憎いほど作曲に長けています。
また、弦楽器とピアノに同じ旋律を時間差をつけて演奏させ、ピアノはfff で始まるのに対し、弦楽器はからゆっくりとクレッシェンドしながらff に達します。
この先はこれまで出てきた要素の繰り返しなのですが、さまざまに変奏されて飽きるということがありません。

第2楽章はのどかに始まります。が、テンポの速い部分に差し掛かると、お得意の休符を先頭に置いた音型で、オケが入ってくるまでリズムがよくわかりません。この急速な展開になかなかついて行けません。
再びのどかになってピアノの奏でるアルペジオは何となく第一楽章冒頭を思い起こさせるかもしれません。

第3楽章も厳密にいえば休符で始まるメロディーですが、先頭にきちんとアクセントがついているので聞き間違えることはありません。それでも目まぐるしいピアノの動きに翻弄されることでしょう。

耳で聞いた感じよりはるかに演奏困難なこの曲は猛スピードの走句に彩られながら、堂々とした終結を迎えます。

物思いにふけるような部分でも「悲観的」なところがなく、あるとすれば「憧憬」でしょうか?華麗にして堂々としたこの曲からは元気をいっぱいもらえます。

 

ベルリンフィルの野音だったと思うのですがラン・ランがソロをとった演奏(TVでしたが)が印象に残っています。非凡なテクニックで圧倒的な演奏でした。来日時にエッシェンバッハ、フィラデルフィアとの共演を聴きに行きましたが、それより凄かったくらい。ラン・ランは好き嫌いがあると思いますがタワレコのCDのほうは終息に向かっていますね。どういうことなんでしょう。

 

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一押しのベルマンです。一世を風靡しました。

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あと聞いてみたいのはギレリスです。このBOXには2種類の演奏が含まれています。

 

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気になるのはやはりリヒテル

 

チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番LIVE Limited Edition 辻井伸行×ゲルギエフ ¥1,800
そして辻井伸行。この難曲を一体どうやって…。聴いてみたいです。

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