「甘~い!」究極のメロディーメーカーの妻への愛。ボロディン:弦楽四重奏曲第2番(ノクターン)

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「ダッタン人の踊り」の冒頭で流麗なメロディーを聴かせてくれたボロディンの究極の愛の音楽です。これは妻に愛を告白した20周年記念として作曲され、もちろん夫人に捧げられました。有名なのは第三楽章で、単独で演奏されたり、規模の大きい編曲版でも聴くことができます。

SampleMachine第三楽章(ノクターン)

昔にNHKのFM番組のテーマ曲になっていました。とても素敵ですね。試聴機の演奏は弦楽合奏で演奏していますが、弦楽四重奏曲も決して音の薄さを感じさせない、より繊細で愛情のこもった表現が可能です。

第一楽章:のっけから甘いメロディーで酔わせてくれます。チェロと第一ヴァイオリンの掛け合いの形で曲は進みます。同じリズムになったりして、この二つの楽器はまるでボロディン夫妻を表しているかのようです。演奏技巧的には決して難しい方ではないと思いますが、「聴かせる」演奏をするには慎重な準備と表現力が求められるでしょう。特に、比較的限られたテーマの繰り返しが多いので、バラエティー豊かな演奏をするのは腕の見せ所でしょう。

第二楽章:スケルツォですが、あまり細かな動きではなく、そうですね、円熟期に入った夫婦の楽しいひと時を思わせます。途中から少し動きが細かくなってスピード感が増します。短調も導入されますが、全体的にみると長調の明るさが耳に残る曲です。また少しゆったりとなって、相思相愛、互いに忠節な二人の関係が浮かび上がってくるようです。最後、ヴィバーチェになって愛らしく幕を引きます。

第三楽章:ノクターン(ノットゥルノ)、つまり夜想曲です。もっとも甘い美しい楽章です。主題は最初チェロの太く充実した音で開始されます。その後第一ヴァイオリンが非常に高音でメロディーを引き継ぎます。この部分からもチェロがボロディンで第一ヴァイオリンが夫人なのかなと感じます。もちろん第二ヴァイオリンやヴィオラもメロディーに関わってきますが、後半では再び第一ヴァイオリンとチェロが掛け合いの形でメロディーをカノン風に演奏します。ささやかな賑わいを見せるのは、家族のことを知らないのですが彼の充実した私生活を反映したものか。ここには夫人に対する愛と感謝があふれています。

第四楽章:フィナーレ。二つのヴァイオリンが短いメロディーを弾くとヴィオラとチェロがそれに応えるように短くフレーズを演奏します。最初のメロディーが二倍の速さになり、曲そのもののテンポも上がり楽章を織り上げていきます。しばらくすると今度は逆に、ヴィオラとチェロが短いメロディー、二つのヴァイオリンがそれに応答します。そして同様の構成で曲は進み、全員で同じメロディーを弾いたり様々な工夫が凝らされていて、あっという間にフィナーレは終わってしまいます。盛り上がりますが、ドーンと盛り上げるというよりも、手に手を取ったボロディン夫妻のアップで幕を閉じる感じといえばよいでしょうか。

とにかくノクターンだけでなく全曲を通して聴いていただきたい素晴らしい曲です。もっともっと全曲が演奏されてもよいと思います。春の木もれ日が待ち遠しくなります。ぽかぽか。

ボロディンは本職は化学者で生計もそれで立てていました。自分のことは「日曜作曲家」と呼び、あまり時間が取れなかったことと53歳という若さで亡くなってしまったため、作品は決して多くはなく、未完のものもかなりあるようです。「ダッタン人の踊り」の入っている歌劇「イーゴリ公」は彼の代表作といえるでしょうが、リムスキー・コルサコフとグラズノフが補筆しています。

 

ドヴォルザーク: 弦楽四重奏曲第12番「アメリカ」; ボロディン: 弦楽四重奏曲第2番<タワーレコード限定> イタリア弦楽四重奏団 ¥1,234(送料別)
録音は古いですがリマスターされているようです(未確認)。ボロディンはCD初出(一部)とのことで、名演を楽しむことができそうです。

ドヴォルザーク/チャイコフスキー/ボロディン:弦楽四重奏曲 エマーソン弦楽四重奏団 ¥1,836
こちらは新しい演奏です。ややゆったり目のテンポでじっくりと聞かせてくれます。

ボロディン:交響曲第2番/夜想曲/≪中央アジアの草原にて≫ ダッタン人の踊り 他 ネーメ・ヤルヴィ ¥1,296(送料別)
交響楽団による演奏です。ボロディンを知るならこの一枚、といったところでしょうか。

The Blue Danube Waltz & Music for Strings レオポルド・ストコフスキー 、 レオポルド・ストコフスキー交響楽団 ¥961
弦楽合奏による演奏をお楽しみください。「あの」ストコフスキーが聴かせます。

 

Borodin: String Quartets Nos. 1 & 2 CD, Import Alexander Porfir’yevich Borodin ¥2,012
ボロディンの名を負う四重奏団による第一番、第二番です。これでこけた日にゃボロディンに顔向けできませんね。

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