初稿 2017/10/03
以前紹介したレスピーギの「リュートのための・・・」と同じテイストの作品です。こちらはギターが独奏楽器して用いられる小規模な協奏曲の様を呈しています。
秋の晩などに聴くと、ゆったりと穏やかな気分に浸れることでしょう。同時にとても熱いものを秘めています。心地よいです。
「貴紳」というのはWikiによると「宮廷に仕える紳士」ということだそうです。なるほど、非常にスマートで居住いの正しさを感じるシャンとした曲です。ロドリーゴのユーモアも垣間見れますが。
ロドリーゴといえば「あの」アランフェス協奏曲の作曲者ですが、この曲集の素材は17世紀の作曲家サンスの作曲した教則本の中の舞曲ということです。このあたりの発想もレスピーギの「リュート…」に似ています。ただレスピーギはリュート曲から弦楽合奏曲を創作したのに対し、こちらは、明確にギター協奏曲になっています。
第1楽章 ビリャーノとリチェルカーレ
優雅に穏やかながらも小オーケストラの活気ある伴奏にのって、ギターが快活に舞い踊ります。長調で始まった曲はいったん終息し、そのまま短調につながります。音階の上り下りで組み立てられているような感じです。最後はギターの柔らかいアルペジオで結びます。
第2楽章 エスパニョレータとナポリ騎兵隊のファンファーレ
こちらも静かなギターの旋律が低音、また高音で曲を引っ張っていきます。物悲しげな旋律です。またこの部分では長いギターのソロが聞かれます。一種の変奏曲になっていてオーケストラが本来の旋律を弾いている間、ギターがスケール状に細かく動きます。その後わずかな間をおいてファンファーレの部分が始まります。ここではトランペットが活躍します。ギターは低音部の不協和音でリズムを刻みます。愉快な部分です。そして再びギターのソロで最初の旋律に戻ります。そのあとはオーケストラの演奏が続き、ギターと呼び交わすような進行を経て静かに終わります。
第3楽章 たいまつの踊り
元気よく始まります。単純な旋律ですが、ギター、弦楽器、木管、金管がリレーしていきます。タイトルほどには「燃え上がる」感じはありませんが、一つの山場ではあります。
第4楽章 カナリオ
テンポよく開始され、リズムに特徴があって心弾む楽章です。不協和音の取り入れ方にロドリーゴ一流のユーモアを感じます。スペイン的、と聞いて思い浮かぶ曲想そのものでしょう。中米的にも聴こえますが、歴史的つながりからそう感じるのかもしれません。終結部近くにはギターのカデンツァが奏されます。最後は元気よくオーケストラが〆ます。
幼い時に視力を失って、いったいどのように作曲を続けていったのだろうという関心もあります。しかもかなり多作な作曲家です。先生としてデュカス(「魔法使いの弟子」の作曲者。完璧主義で寡作で有名)についたというのも興味深いです。
本家、といえばこの曲の作曲を依頼したセゴビアなのですが、よい盤がみつからず、では大御所にご登場願うということでイエペスの演奏です。
ジョン・ウイリアムズといっても映画音楽の方ではなく、ギタリストです。音楽の世界では同姓同名は特に問題視されないようですね。マイケル・J・フォックスが最初マイケル・フォックスで登録しようとしたところ同姓同名がいたので、Jを挟んだ、という話を聞いたことがあります。閑話休題、この方は映画「ディア・ハンター」のテーマ「カヴァティーナ」を編曲したことでも有名です。とても美しい曲なので機会があれば紹介します。小品ですけれど。
まだ若いころの演奏と思います。みずみずしいです。このCDでは、他の収録曲が変わっていて、といいますか私は初めて聴いた曲ばかりで、それもかなりギター「通」の方に受けが良いのではないかと思われる選曲なんです。通の方はより一層楽しんでいただけるかと。
奇しくも、Amazonで検索したら、Towerで選んだものが二つ最上位に表示されました。
Prime価格ですがそれにしても安い!
御大の録音が…mp3ならありました。でもCDもいづれ復刻されるのは確かでしょう。
やはりというか、再びCDが出てきました。しかも安価で。
ロドリーゴ:ある貴紳のための幻想曲、他 セゴビア(g)ホルダ&シンフォニー・オブ・ジ・エア 会員価格¥1,386
と思ったら、あるとこにはありました。HMVはすごいなぁ。通常価格、まとめ買い価格などがあります。
【輸入盤】ロドリーゴ:ある貴紳のための幻想曲、他 セゴビア(g)ホルダ&シンフォニー・オブ・ジ・エア [ ロドリーゴ(1901-1999) ] なんと楽天もしかり。 |