スパニッシュな音楽です。ストーリーは、粉屋の女房に横恋慕した代官を、村のみんなでとっちめるという、至って単純なもの。水戸黄門とは少し違いますが、スカッとした爽快感があります。どの曲も楽しいものばかり。ただ、今の旬ではないのかCDの供給は一頃よりも少ないようです。
20秒くらい聞くと「ああ、この曲か」と・・・。
バレエ音楽全体でもCDに収まってしまうほどのもの。それでも組曲が2つ作られていて、以前「三角帽子」といえば第二組曲を指していました。この組曲は「近所の人たち」「粉屋の踊り」「終幕の踊り」からなっていて、コンパクトに楽しめるものでした。
中でも「粉屋の踊り」はギターソロ用の編曲があり、こちらは名だたるギタリストが取り上げています。最近の若い奏者たちも積極的に弾いていますね。粉屋のきびきびした男らしさの溢れる盛り上がる曲です。
第一組曲というのを聴いたことがないのですが、全曲盤がやはりお勧めです。明るくて、ユーモラスで、心がホカホカしてくるような音楽です。ファリャの茶目っ気が効いていて、例えば悪代官が粉屋の留守を狙って女房のところに忍んでいきドアをノックする場面では、ノックに合わせてベートーヴェンの「運命」の「タッ・タッ・タッ・ターン」をトランペットが吹いたりします。
バレエ曲にしては珍しく、ごく一部ですが歌が入っています。カッコウの鳴きまねなどしながら、警告を歌います(いやカッコウが歌っている設定だったか?)。ダンサーが歌うわけではありません。テレサ・ベルガンサがよく起用されています。きれいな声ですからね。作品にもよく合っています。
最後にはスペインらしくカスタネットのトレモロがあるのですが、スネアドラムで代用されることも多いようです。またこのトレモロ(ロール)の長さも指揮者によってかなり差があります。間延びしない程度にたっぷり聴かせてほしいです。初演はアンセルメ。ビジュアルにはピカソも加わっています。曲はいわゆる全くのクラシックです。
そうそう、三角帽子というのは代官がかぶっているものだそうです。
Falla: El Sombrero de Tres Picos; Debussy: Images pour Orchestre エルネスト・アンセルメ 、 スイス・ロマンド管弦楽団 ¥1,054 送料別
初演者アンセルメによる全曲盤です。お得意のドビュッシー「映像」も入っています。今探した中では一番楽しめると思います。安価ですし。
こちらは組曲版ですが、独自の組曲となっているようです。ボストン交響楽団を振っているのも興味深いものがあります。
こちらはSACD盤ですのでくれぐれもお間違いのないように。対応機器がないと聴けません。ベルガンサも加わり、充実の内容。
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