今回は、場の雰囲気を醸し出すアンビエント・ミュージックの紹介です。いわゆる「聴く」ことが目的というよりも、そこに「ある」音楽です。先ほどまでここでは雨が降っていて柔らかな雨音がやや寂しげな雰囲気を醸していましたが、同じように環境を作り出すための作品といえるでしょう。
原題では「Airports」なので「エアポーツ」と書くべきなのでしょうが。題名の通り空港で実際に流されていました。4つの区分からなっています。
一所懸命に聴いてもいいのかもしれませんが、BGMに近い、でもBGMよりもっと場に馴染むように作られています。人の会話やアナウンスを邪魔しない、かといって無音のままでは味気ない空間を彩っています。ですから「退屈」とは無縁の音楽です。
こうした作品を制作するために、イーノは音の周波数などに非常に注意を払っています。必要以上に注意を引き付けてはいけないという考えからなのでしょう。インタビューから感じられるのは、イーノはとにかく実験的に手探りで音を組み立てているようだということです。そのようにして彼なりの方法論が積み上げられてきた様子です。
イーノはアンビエント・ミュージックを時々リリースしてきましたが、今では結構な数の作品が出来上がっています。どの作品も美しく、今回特にこの曲を取り上げたのはイーノのアンビエント作品への関心を持っていただく一つのきっかけになればと思ったからです。
イーノ自身はロック畑の出身と思いますが、この曲はロックともポップとも言えず、とりあえず現代音楽に含めました。
今もこの曲を流しながら執筆していますが、思考を妨げない、それでいて止んでしまった雨の替わりに部屋の空気感を特色あるものとしてくれています。ですから、この曲を流しながらボーっとするのは本筋ではないような気がします。何かしている時、考えている時、会話している時など背景として流しておくのがお勧めです。
ちなみに聴く前は、曲のタイトルがずーっと気になっていました。というのは空港に行くのがとても好きだからです。祖父の送り迎えによく出かけていた子供時代の楽しい思い出があるからかもしれません。こうしていると空港にいるときのような感じさえ覚えます。
とても控えめでありながら、非常に意欲的な作品といえるでしょう。
アンビエント1/ミュージック・フォー・エアポーツ Brian Eno ¥1,851
こちらもお勧めです。ハロルド・バッドとの共作です。
それぞれ輸入盤で安いですが送料が378円(税込)掛かってしまいます。合わせ買いの時などにはいいと思います。
共にPrime価格なのですが値段はころころと変わりますからね。輸入盤です。
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