これはもう何と言ってよいのか、癒し系の最たるものではないでしょうか?明るい色調の中に美しいメロディーが流れつつ、一方で寂寥感漂ううちにカタルシスを得ることができます。比較的マイナーな作曲家だと思います。本曲も演奏機会にはそれほど恵まれていないでしょう。私が特に聴きこんでいるのは第2楽章なのですが…。
15:00くらいから第2楽章です。音量が小さいようなので16:00辺りから聴いていただければ。
とりわけ第2楽章に入れ込んでいるのは理由があります。
河口湖畔に「オルゴールの森美術館」があります。オルゴールと銘打っているとおり古今のオルゴールが蒐集され実際の演奏も聴けるのですが、それ以外にも自動演奏楽器のコレクションがすごいです。あのタイタニックに取り付けるはずだったのに間に合わず、結果現存する「オーケストリオンータイタニックモデル」。これも一種のオルゴールだと言えますが、金ぐしの様なものをはじくのではなく、パイプオルガンや打楽器等が所狭しと詰め込まれていて、自動演奏オーケストラといった趣です。大変迫力があります。
それらの収蔵品の中に、「ヴィオリナ・フォノリスタ」という自動演奏楽器があります。これは、ピアノの上に三丁のヴァイオリンが取り付けられていて、ヴァイオリンとピアノのデュオを聴くことができるのです(三丁で一人のヴァイオリニストの役割を果たします。三人分ではありません)。タイタニックモデルと同様、定時に演奏されるのですが、そこで聴いたのがゴルトマルクのヴァイオリン協奏曲第1番(ピアノ伴奏版)第2楽章だったというわけです。
楽器の調整はかなり難しく、メンテナンスも大変そうですが、この美術館の素晴らしいところはそれらを極力演奏して聴かせてくれるところです。一日に何回、という制限があるようですが、世界広しといえども実演をこれほど行っているところは他にないのではないでしょうか。
ヴィオリナで聴くゴルトマルクは、ピアノの調律こそ少し微妙ではありましたが(調整もギリギリなのでしょう)、三丁のヴァイオリンを駆使して演奏されるメロディーの美しさに心奪われてしまいました。つまり人が弾くのを聞く前に機械の演奏を聴いたのですね。
協奏曲はイ短調ですが、ト長調で明るく穏やかなメロディーが始まります。中間部は短調に戻りますが、決して重苦しくはならず軽やかに空を翔るようです。再び最初の明るい曲調に戻って静かに楽章を終えます。比較的短い楽章ですがとてもよくまとめられていると思います。
第一楽章は力強い雄々しさを、第3楽章には愛に溢れる真の強さを感じます。
全体に35~40分ほどの演奏時間を要するので、プログラムとしては少し長めなのかもしれません。交響曲もそのくらいのものがたくさんありますからバランスがとりにくいのが難点なのでしょうか?この曲と交響曲1曲で良いプログラムになると思うのですが。確かに幾分仰々しい協奏曲ではあります。コンサートの最後でもよさそうな。そういえば協奏曲が最後のプログラムってあまり見聞きしませんよね?なんとなくわかる気もしますが…。
【SACDハイブリッド】 Karoly Goldmark: Violin Concerto No.1; Brahms: Violin Concerto Op.77; J.S.Bach: Partita BWV.1004 Chaconne<限定盤> ナタン・ミルシテイン 、 ハリー・ブレック 、 アナトール・フィストゥラーリ 、 フィルハーモニア管弦楽団 ¥2,736
未聴なのですが決定版だそうです。リマスターされていてSACDハイブリッドで出してきているという事は音質的にも自信があるのでしょう。ブラームスのコンチェルトとバッハのシャコンヌが入っていて、評判通りであればお値打ちですね。
10枚組です。協奏曲はワルター/ニューヨークフィルとの共演ですから、上記の演奏とは異なります。同時期にリマスタリングされたようです。
上が国内盤、下が輸入盤です。ツィゴイネルワイゼンとのカップリングです。
タワレコで紹介したものです。
手元にある音源で、コンロンの指揮です。内容的にはかなりお勧めなのですが中古しか見つけられませんでした。内容は良いので再販を期待したいところです。
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