以前に紹介したヴァイオリン協奏曲は冬どっぷりの重々しい曲でしたが、いよいよ冬本番、ここはひとつ春を待ちわびて、同じ作曲者の春の喜びを告げるかのような交響曲の紹介です。メジャーな曲ですが。
冒頭、青々とした地面に黄色の野の花が次々に咲き始めるような印象。もっともこれは日本人としての感覚で、北欧の方はどうなんでしょう。念のため、ですが「春」を主題にした曲というわけではないのですが、私にはどうしてもそう聞こえるので。Wikiによるとやはり標題を持たない交響曲で、イタリア長期滞在中に作業がなされたため、温暖な気候を感じさせるのかもしれません。曲の印象をわかりやすくお伝えするため季節を利用しますが、あくまでも方便です。
第一楽章、穏やかに始まる春の風景は、やはり北欧の季節の厳しさを感じさせるものの、コミカルな響きも聴かれ、所変われど春は喜びの時なんですねぇ。と、やはり「春」の印象は相当に強いです。
第2楽章、ピチカートで長々とした前奏が奏された後、抑えたメロディーが管楽器で演奏され、弦楽器に引き継がれるあたりからはかなり暗く強い印象を受けます。風雲急を告げる、というと少し言いすぎですが交響曲中で非常に印象的なフレーズが金管楽器で演奏されます。再び穏やかに弦楽器・木管楽器がなだめるように冬との決別を告げるようです。低音弦楽器がそれに少し抗うようですが。
第3楽章では冒頭から何やら穏やかならぬ様相を呈していますが、盛り上がっては静まり、緊張が極度に張り詰められるところまではいきません。それでも曲は明るさの中にクレッシェンドしていき、切れ目なく第四楽章に突入します。
第四楽章、これはもう喜び発露以外の何物でもないでしょう。きらびやかな金管のファンファーレが響き、弦楽器が朗々とメロディー歌い上げます。その後、木管に暗いメロディーが小音量で出てきますが、これはそれに続く明るさを際立たせるもののように感じられます。穏やかな低弦が大気を温め、管楽器の不安げな旋律も主旋律に徐々に飲み込まれていき、再び冒頭に戻って美しくも輝かしい主題を歌い上げます。いったん曲は静まり返って短調で奏されていた部分が途中から長調に転調しコーダへと突入します。コーダもファンファーレ風です。充実した響きのうちに明るく、温かく曲を閉じます。
初演から大成功だったというのもうなずけます。非常によくまとめ上げられた交響曲で、帰国後初演前に校を改めているようです。なんとなくぼんやりと聴いていると長く感じるのですが、曲想の変化に耳を傾けているとあっという間に終わってしまい、もっと聴いていたい幸福な気持ちになります。シベリウス本人もその出来栄え、聴衆の反応に幸福感を味わっていたことでしょう。
Sibelius: Symphony No.2, Finlandia, Karelia-Suite マリス・ヤンソンス 、 バイエルン放送交響楽団 ¥1,509
お勧め。「フィンランディア」と「カレリア」組曲が収録されているのもいいですね。既に名盤と言われるものを出しているヤンソンス、満を持しての録音です。
第5番とのカップリング。エーテボリ交響楽団を振った円熟の演奏。
やや客観的な演奏になるのかどうか?ウィーンフィルとのライブレコーディングです。
上記と同じ録音ですが、数百円の違いで第7番が入っています。
(2018.05.27追記)
話題のコンドラシン指揮のシベリウスがタワレコで在庫わずか。
こちらはSACDです。ハイレゾで聴きたい方に。ライブならではの迫力が期待できます。
こちらはサラステ。「カレリア」と「フィンランディア」も同郷のオッコ・カムです。
実は知らなかったのですが、レコード芸術でも推薦、準推薦を得ている名盤です。意外とさらっとした演奏に感じますがいかがでしょうか?
(2017.02.17追記)
これはちょっとした聴きものではないでしょうか?ライブですが絶賛されています。北欧系解釈とは異なるエネルギッシュなコンドラシンが一気に聴かせるとのこと。
在庫わずかとのことですが、評価の高いコンドラシン指揮、フランス国立管弦楽団を推薦盤として追加しました。