「解答が存在しない」のか、「返事がない」だけなのか、それが問題だ。アイブズ:「答えのない質問」

4144132によるPixabayからの画像

英語の題名は「Unanswered question」なので、単に答えが返ってこないと言う意味に取れそうですが。比較的聴きやすい(美しい?)現代音楽です。

アメリカ人作曲者のアイブズはきちんと大学で音楽教育を受けながらも、「不協和音では食べられない」と言って、生計は保険会社で立てながら、「日曜作曲家」に徹した人物です。作品数は膨大で、しかも多くの実験的な事柄をメインストリームから外れたところで早くから始めていました。そのため生前はあまり認められていたとは言えませんが、晩年には評価を受けるようになりました。

弦楽合奏が弱音で演奏され続けます。この合奏の部分だけに注目すると非常に美しい曲のように思われます。しかし、トランペットが異なるテンポで質問を投げかけます。この問いかけは、トランペットでなくてもオーボエでもイングリッシュホルンでもクラリネットでも演奏可能と指示されています。異なるテンポを1つの五線紙に書いているために、このパートは3連符の中に3連符がある結構吹きにくい楽譜になっています。

するとこの問いかけに対して人間が答えを見つけようとする努力を表現しているフレーズが木管楽器で演奏されます。 4本のフルートか、2本のフルートとオーボエとクラリネットの組み合わせか、いずれにしても4人の奏者で演奏されることになっています。こちらは1枚の楽譜に書かれているのは確かなのですが、小節線は合っておらず、テンポも弦楽合奏とは全く独立しています。最初はアダージョで囁くように始まりますが、最後に登場するときは、アレグロからプレストに向かって一気に音量を上げて突き進みます。しかし、その努力は虚しく終わるようです。最終的には全く変化することのない弦楽合奏に飲み込まれるかのように消え入るように曲が終わります。

複数のリズムやテンポが同時進行するというのは現代音楽ではよく使われる方法です。しかし、アイブスは他に先駆けて、このような手法を使った実験的な音楽を書いていたことになります。この手法を取った音楽をアイブズはいくつも書いています。その中でも有名なのが「宵闇のセントラルパーク」でしょう(副指揮者を置くこともある)。これはまた機会があれば紹介したいと思います。他にも「スケルツォ:舗道の上で」といった作品もあります。これは舗道の上を歩いている人々が、それぞれ独自の速さで歩くので、それが入り混じった状況を描いていると言うことです。発想は単純かもしれませんが、コロンブスの卵であり、彼は先駆者であったと言えるでしょう。ただし、先に書いたように彼はメインストリームの外にいた「日曜作曲家」でしたから、彼が現代音楽界に実質影響を及ぼしたかどうかはなんともいえません。

それでも彼の交響曲第3番はピューリッツァー賞を受賞するなど評価がされました。もっともこのとき彼は「賞など子供にくれてやるものだ」と言って、演奏も自宅でラジオを聞いただけといった人物だったようです。事業で成功し、望む曲を好きなように作曲することができた彼ならではの逸話かもしれません。交響曲第4番なども2人の指揮者を必要とする変わった曲ですが、かのストコフスキーが取り上げています。惜しむらくは演奏困難な曲が多いために、あまり取り上げられることが多くなく、音源もあまりないと言うあたりでしょうか?ヨーロッパでは比較的よく取り上げられると言うことです。

 

アイヴズ:ホリデイ・シンフォニー、答えのない質問 宵闇のセントラル・パーク/カーター:管弦楽のための協奏曲 レナード・バーンスタイン ¥1,285(送料別)

タワレコ・オンラインで買えるのはこの盤くらいのようですね。バーンスタインの演奏は定評がありますのでお勧めです。

宇宙幻想<期間生産限定盤> ¥1,080(送料別)

こちらには冨田勲のシンセサイザー版が収録されています。私がこの曲を初めて聞いたのは、これと内容の同じLPでした。今でも弦楽合奏で曲が始まると、広大な宇宙に広がる星々をイメージしてしまいます。

 


レナード・バーンスタイン アイヴズ:交響曲第2番 宵闇のセントラル・パーク/答えられない質問 他<初回プレス限定盤> SHM-CD 1,620円(送料無料)

こちらは交響曲第2番が中心です。


宇宙幻想 1,080円(送料無料)

タワレコで紹介しているのと同じものです。

Be the first to comment

Leave a Reply

Your email address will not be published.


*


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください