さてレビューで非常に高く評価されているワイセンベルクの演奏。一体いかなるものなのか?楽天ブックスで、入荷可能かどうか不明とのことでしたが安価でしたので早速注文したところ、意外に早く到着いたしました。今、家族と聴き終えたところです。
確かに素晴らしい演奏です。ショパンのソナタ、第2番と第3番が入っており順に聴きましたが高評価なのもうなずけます。家族は「ピアノ一台でオーケストラの迫力がある」と評しておりました。同感です。ボリュームの上げ過ぎでは?との疑問に対しては、ピアニッシモが聴き取れる音量で聴きました、とお答えいたします。ダイナミックレンジの広さが非常にありますし、テクニック的にも非の打ち所がなく、高速な部分でよたることなく、ゆったりしたところでだれることなく、これは確かに聴きものです。
ただし、それによってアルゲリッチがしょぼく聴こえるとか、そういうことではないと思います。レビューの中にはそう評しているものがあったので。私はどちらも素晴らしいと思います。
うまい表現が見つかりませんが、アルゲリッチはピアノという楽器をフルに使って彼女の音楽を紡ぎだしているのに対し、ワイセンベルクは「これはピアノか?」と思える(ちょうど家族がオーケストラと比較したように)、ちょっと異質な感動を呼ぶものです。
今回はワイセンベルクの演奏の演奏のインプレッションなので、彼に焦点をあてて書きますが、まず、時間があっという間…。時の経過を意識できないほどあっけないほどに2曲のソナタが終わってしまいます。つまりそれだけ引き込まれてしまうということでしょう。
ライナーノーツに書かれていましたが、彼はデビュー後なんと19年も活動を休止し研鑽を重ねていたということです。素晴らしいことです。
クラシックに限ったことではないですが、日本の音楽業界を見ていると、まだまだ伸びしろがあるにも拘らず、若いアーティストを「完成品」として輩出しているように思えてならないのです。むろん素晴らしい才能と根性の持ち主たちが多くいることは認めます。でも、アートはもっとずっと長い目で見守らなければならないのではないでしょうか?たくさんの楽曲、たくさんのコンサート等々で若い芽をつぶしているのではないかと感じるのは私だけでしょうか?
たとえば今後20年、辻井伸行氏が演奏活動を休止する、と言ったら業界はそれを認めるでしょうか?とても難しいように私には思えます。
マウリツィオ・ポリーニもコンクールで優勝後、長い研鑽期間を置いたことで知られています。そして、かのストラヴィンスキーの「ペトルーシュカによる三楽章」で再デビューを果たし、大成功を収めました。いわゆる山籠もりですね。
ちょっと話がずれてしまいましたが、ワイセンベルクの演奏をあまり聴いたことがなかったので、これは本当に良い機会になりました。繊細さとダイナミズムを併せ持つ優れたピアニストであることを再確認できました。
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