真剣勝負のその前に。ブゾーニ:「トッカータ」

Myriam ZillesによるPixabayからの画像
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バッハ作品のピアノ編曲で有名なブゾーニのオリジナル作品です。正式名称は「トッカータ(前奏曲、幻想曲とシャコンヌ)」です。つまり3つの部分に分かれていますが続けて演奏されます。前奏曲の終わりははっきりしています。

大変厳粛な趣を持った曲で、幻想曲(ファンタジア)もうっとりと夢見るような感じとは程遠いです。気を引き締めるのにもってこいの作品だと思います。一大事の前、集中力を高めるのにいかがでしょうか?

ブレンデルの演奏。最高!

かのアルフレート・ブレンデルが「最も難しい作品の一つ」としています。YouTubeにはもっとスピードの速い演奏もありますが、彼ほどの感動を与えてくれる演奏はそうそうないでしょう。そこまで突き詰めるのが非常に困難、という意味に理解しています。

ブゾーニは一時、一時間に及ぶ長大なピアノ協奏曲で話題を呼んだことがあると思います。バッハの作品の校訂や、オルガン曲のピアノ編曲、さらには有名な「無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番からシャコンヌ」のピアノ編曲も知られています。このシャコンヌはバロック時代にはありえない編曲になってしまっていますが、非常に魅力的です。ただし演奏技術も高度なものを求められます。

さてこのトッカータですが、どういう経緯で作曲されたかはわかりませんが、ストイックな表情を持ち、気持ちを引き締める効果があります。現代音楽というには調性感が強いですし、リズムも明確です。古典的かと言われると、慣れない耳には大変モダンな響きに聴こえることでしょう。作曲者の真面目さ、音楽に対する真摯な思いが伝わってきます。

前奏曲は非常に短く、終結がはっきりしているので幻想曲の始まりはすぐわかります。シャコンヌには連続して入るので切れ目がわかりにくいですが「タン・タータ、タン・タータ、」という三拍子がはっきり聞こえてきたらそこからがシャコンヌです。

最初の前奏曲は調性感がはっきりしていて、下降音型に始まってその中で主題が提示されます。展開は簡潔で、最後は全体が上昇音型を示していったん終結します。この最後の部分は左手が右手を飛び越えて腕が思いっきり交差するように書かれているので、腕の長さが必要です。ピアニストによっては途中で左右の手を入れ替えて演奏しているようです。

幻想曲は調性感の希薄ななんとなくファンタジアかなぁ、という塩梅です。ところどころに非常に美しいきらめきが潜んでいて、時々顔を出します。リズム感もややあいまいな感じも受けます。何とも不思議な感覚を持っていて、幻想的でありながら非常に現実味のある音楽です。

シャコンヌでのリズムは「タータ・タン」と聴こえるかも知れません。執拗に音型が繰り返される中を自由に変奏が駆け巡ります。そして軽やかに、また重々しく、かつ激しく盛り上がって終わったか、と思うともうワンフレーズ付け加えて終了します。最後は本当に重々しい終わり方です。

カッコイイと思うか、何だこれ?と思うかは聴く人次第です。

音源についてですが、ブレンデルのものは現在廃盤。他の演奏は定評のあるものから選びました。

 

Busoni: Piano Works シリル・ユヴェ ¥877
クラウディオ・アラウの弟子。歴史的ピアニストとして有名で評価は高いです。

Busoni: Late Piano Music マルク・アンドレ・アムラン ¥6,190
評価でいうと現代彼が第一人者ということになるでしょうか。しかし三枚組で全曲ブゾーニというのもどんなものでしょう。お勧めしたいのはトッカータ1曲なのですから。

 


Piano Music Import Ferruccio Busoni ¥2,687

こちらのTanskiの演奏はYouTubeでも試聴できます。なかなか良い演奏だと思います。あといいのはバッハの「トッカータとフーガ」のピアノ版が入っていたりするところでしょうか。

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