年代を追って紹介しているわけではないのですが、ハーモニーが比較的複雑で、不協和音とはいかないまでも、どちらかというと短調に傾いている時期の作品です。タイトルの通り三つの楽章からなります。リズムは比較的単純で、一連の「フェーズ」シリーズのように少しずつ少しずつずれていくということはなく、特にこの作品では全体が一斉にリズムを変えていく体を成しています。
このころの作品には、非常に似通ったものがあります。編成を変えたり、メロディーラインを外してみたりと、確かに違う曲なのですが同一のコード進行や、開始部分がほとんど同じだったりということもあります。この曲は「六重奏曲」と非常に似ています。
定番のパルスから始まります。和声はいくらか濁って聞こえる部分が多いです。この時期以降の特徴といえると思います。パルスのクレッシェンドとデクレッシェンドの組み合わせで、徐々に和声が変容していきます。徐々にといっても比較的はっきりと変わり目がわかるような書き方をしています。そして、リズムが単純なパルスからパターンへと変化していきます。この辺りからハーモニーの切り替えは小節線ではっきり区切られたかのように瞬時に変わります。また、リズムパターンもはっきりと切り替わります。
比較的初期には楽譜の無い、あるいは楽譜の断片しかない作品を「録音されたもの」として提示していたライヒ(ライク)ですが、このような曲になるときちんとした楽譜なしでは演奏できませんね。それもあってか、ライヒの作品を演奏する団体も徐々に増えてきているようです。
全体は、急-緩-急の三楽章からなり、「同じところをぐるぐる回っている」というものでは全くありませんので、聴きやすいのではないかと思います。比較的。
明るく楽しいといった感じの曲ではありませんが、一杯傾けながら聴くのにはうってつけではないでしょうか?彼の作品の中で非常に評価が高いというほどではないのですが、彼の変遷を追うのに押さえておくべき一曲であるとは思います。
定番商品ですね。再販されているようで、しばらく手に入るでしょう。
ハイレゾ派の方に。演奏もライヒ絶賛。