初稿2016/06/27
重々しく始まり、軽妙洒脱に終える。気分転換にお勧めの曲です。
第5番で名誉を回復したショスタコーヴィチは、続いて第6番をリリース。
曲の始まりは晦渋に満ちた重々しい音楽が続きますが、第2楽章は軽快に、そして終楽章(3楽章形式)では、これはもう思いっきりふざけているとしか思えない。また批判を受けないように注意深く書かれているようですが、「なんじゃこの終わり方は?!」。突っ込みどころ満載です。
確かに第2楽章の緻密さは素晴らしいと思うし、第3楽章もかっこいいと言えばかっこいい。「デンガラガッシャン」を繰り返すコーダは何度聞いても元気をくれる。そして2回繰り返される「ジャンジャンジャン」。2回目は1オクターブ下がるのだと最近になるまで気が付かなかった。ますますおちゃらけている感じが強まった。
聴いていて楽しい。それに第5番のパロディーが散りばめられているような気がしませんか?
「え?何?第5番みたいなのが好きなの?こんな感じ?」と作曲者が舌を出しながら笑顔で作曲しているような。
そういえばショスタコーヴィチの笑顔を見たことがないですね。いつもこわばったような顔の写真ばかりで。でも決して根っからの堅物な性格ではなかったと思う。タヒチ・トロット(Tea for twoの編曲)も楽しんで書いているようだし。
一方、ムラヴィンスキーは1枚だけ笑顔の写真を見たことがあって、貴族の流れをくむだけあってさすがにノーブルだ。しかし、練習中に見せる表情は厳しい。怒鳴ったりはしないけれども言うことも結構きつい。「(公演)旅行の準備はできている。荷物はカバンの中。でも音楽は?全然できていない」。
でも彼の演奏する第6番はとても楽しい。ではへらへら笑いながらフィナーレを演奏しているのか?そんなはずはない。喜劇でもそうだけれど人を笑わせるようなものって、やる方は大真面目なのですよね。そう思って第6番を聞くとますます楽しくなってしまう。重たい曲を聴きたくないときは第2楽章からか第3楽章だけ聞いてもいいですね。
聴き終えるころには、俄然やる気が出ていることでしょう。
まずご紹介するのは、やはりムラヴィンスキー。驚くなかれの7枚組。録音は古いですがリマスタリングされたものでまさに宝箱。その1枚目と6枚目に交響曲第6番が収められています。ぜひ収録曲目をご覧になってみてください。以前はCDで出ていたのですが廃盤になりました。ハイレゾがよろしければお買い得だと思います(機器が必要です)。
輸入盤
第5番と重なってしまいましたが、音質もよく、奇をてらったところのない演奏です。三曲入り(二枚組)なのもお得感があります。
一枚目に第4番、二枚目に第5、第6が入っています。(送料無料)
第6番のCDは比較的少ないようです。輸入盤を探せばあると思います。上記国内流通版は「第5番」の方を参照してください。わざわざ高い方を買う理由もないと思いますが。
こちらはSACDハイブリッドなので、割高ですが通常のCDプレーヤーで聴くことができます。
通常のCDも上げておきます。第6番と第9番ということで、重々しい部分が少し、他は陽気で軽さを感じさせる2曲をバーンスタインが振っています。どちらの曲も最後は明るく終わり、陰鬱の影もありませんので楽しんでいただけると思います。