タイトルが長くなってしまいましたが、さらに言いますと「ニ短調」で「第五曲」シャコンヌです。パルティータ第二番は全曲傑作ぞろいですが、シャコンヌだけが異様に長い曲です。他の四曲を足してもまだシャコンヌのほうが長いと思います。聴き終わった後には深い感動と平静な心が残ることでしょう。
曲中、三和音で書かれているところが多いですが、ご案内の通り現代のヴァイオリンは「ダブルストップ」と言って、二本の弦を同時にひくことは可能ですが、三本の弦では無理です。こういう書き方をするのは、バッハの時代は弓の構造上の仕掛けがあって三和音同時に鳴らすことが出来たのではないか?という意見もあるからです。
いずれにせよ三和音は分散和音で逃げる、つまり最初の一音を弾いたのちすぐ残りの二本を同時に弾く、あるいは二本弾いて残りの一音を伸ばす、といった方法が取られます。パルティータの中には非常に複雑に聞こえる部分がありますが、実際に楽譜を見ると単純に三和音が書かれているだけで、あとはヴァイオリニストがどのようにそれを処理するかを考えて弾いているために、聴いた感じが複雑になっているだけの場合もあります。
シャコンヌという形式は変奏曲の一種で、同じ主題が繰り返し繰り返し演奏され、それに対旋律や装飾が加えられていくものです。これを無伴奏ヴァイオリンでやろうというのですからバッハも随分と大胆です。
まず主題が提示されます。早速三和音が頻出します。無伴奏ですからある意味自分で伴奏も弾いている感じです。主題の繰り返しの度に様々な手法で変奏がなされます。主題を弾いていないように聴こえるところもあります。が、どこに主題を挿入しても自然に感じるでしょう。
なんだか退屈な音楽のように思われるかもしれませんが、そこは大バッハ、さすがに聴かせてくれます。できる限り静かな環境の中で浸りたい曲です。演奏者にとっては難曲ですが聴き手にも集中力が求められます。
主題から変奏が発展してゆき、熱演がピークに達して、終わったかなと思ったところで曲は長調に転じます。それまでの重苦しい雰囲気から一転して心が晴れ晴れとする明るい変奏へと移行します。この部分はごく静かに始まって依然として荘厳な感じはありますが、弾んだ部分、輝かしい部分などを経て、やや日が陰ってきたように再び短調に移行します。そして最高潮に達し明確に主題が弾かれて華々しく曲は終わります。
曲には非常に深みがあるため、若い演奏家は技術的に上手な人もいますが、もっと人生経験を積んだ奏者の演奏のほうが感動は深いと思います。超絶技巧をひけらかすための曲ではないのです。
さて推薦盤です。
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17歳のデビュー作。若い感性だとこうなります。むろんただ者ではない若者ですが。もう20年前になりますが。
コンクールでメジャーになったのではないところが素晴らしいですね。
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