再び轟音系です。テンションが思いっきり上がりますが、轟音がお嫌いな方は素通りしてください。
フランスの作曲家エドガー・ヴァレーズは、初期の頃はノーマルな曲を作っていましたが、ある時期にそれら全てを破棄しました。そして、自らが「音楽」ではなく「組織された音響」と呼んだ新たな作品群を生み出しました。
それらは確かに音楽と呼ぶにはハチャメチャで混沌としていて人々全てを混乱させるものでした。怪しげで人を落ち着かせない気分にする、そんな曲が多くあります。
「アメリカ」は、ヴァレーズの再出発の曲ですので作品1と言ってよいと思います。ここにはまだ少し「音楽」が残っています。ドビュッシーやストラヴィンスキーの影響があるともされています。
試聴機でご覧いただくとお分かりになると思いますが、アルト・フルートやサイレン、その他の非常に多くの打楽器を必要とします。オーケストラの編成は非常に大きなものです。そして出てくる音響もまた凄いものがあります。
BBC Proms。(冒頭、先の曲がったアルト・フルートを使っています)。
ちなみに試聴機の前者BBC Promsに出てくるオーケストラは若者たちによるものですが、この難曲をよくこれだけの完成度に高めたなと感心させられます。
始まりはいたって静かです。それがだんだん大きくなってはまた小さくなり、小さい中で名人芸的なソロ演奏が行われたり、振幅しながら全体の音量はどんどんとヒートアップしていきます。そしてクライマックスとなる最後の数分間、会場は興奮の渦に飲み込まれます。
試聴機の演奏は素晴らしいものですが、リリースされているものの中ではピエール・ブーレーズの指揮したものが、この曲に生命を吹き込んでいます。あえて指揮者は書きませんが全集(回顧盤ではない)はよい内容ではありません。ふざけていたり、品位が欠けていたり。あるいは、実はこれがヴァレーズの意図した事柄だったのかもしれません、この全集を聞いていっぺんにヴァレーズに対する熱が覚めましたから(ただ、「アメリカ」と「電離」は名曲だと思います)。
その点ブーレーズの分析能力はすさまじく、音響の塊をまさに組織だて、まとめ上げ、調和のとれたものとしながらも、迫力において他を圧倒しています。ブーレーズも何枚かのCD録音をしていますが、どれも聞きごたえがあります。そこには音楽があります。
タイトルの「アメリカ」ですが、原語では複数形になっています。本人が題名について説明をしていますが、聴き方は自由でしょう。
私は、脈略はないですがどんな国でもいずれは廃れるんだよなぁといったことを考えたりします。純粋に歴史的興味からですけど。古代エジプトしかり、古代ローマ帝国しかり。
ある程度自分の体力があるときに聞くのがよいようです。リラックスするのではなくテンションを上げる系です。
耳への負担も大きいので(ご近所迷惑にならないよう)、ご注意ください。
先に述べたとおり、推薦盤は少ししかありません。もともとあまり他の指揮者も積極的には取り上げていないこともあります。
以前にもう一種類、とても良い録音があったのですが、私が入手したときはまだLPでした。処分したのは失敗でした。
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