中期の代表曲といえるでしょう。一つの集大成をなす曲です。
ライヒ自身も演奏に参加しています。せめてセクション1が始まるまで聞いてみてください。
ライヒの初期の発表曲は、声をループさせてループの長さを変えたり位置をずらしたりして生じる音声のモアレ(フェーズ/位相)を聴くようなもので、人によっては退屈、別の人にとっては超面白いのですが、サンプリングやドラムンベースを先取りしていたと思います。
彼は音楽学校で、「無調で書きたくなければ無調でなくともよい」と言われ、調性感のある作品を生み出していくようになります。それは現在まで変わりません。12音技法などは使わなかったわけですね。
この作品はリハーサルを繰り返しながら制作されたものなので、長らく楽譜(スコア)がありませんでした。比較的最近になって、若い研究者によるスコアが作られたため、他の楽団(アンサンブル・モデルンなど)も取り上げるようになりました。
明確なスコアがないというのは、一息で演奏できる時間で長さが決まったり、メタロフォン(ビブラートしないビブラフォン)が次のパートへ移行するための合図を出したりするため、繰り返す数が決まっていなかったり、という理由によります。この辺りにはガムランの影響も感じられます。
曲はまずパルスで始まります。曲全体はパートごとにコードが決まっていますが、このコード進行を最初のパルスで一通り紹介します。そしてセクション1(最初のコード)に入っていきます。各パートはこのコードを保って演奏されますが、単調なものではなく短いフレーズが徐々に長いフレーズにとってかわり、また短いフレーズへと戻っていくように書かれています。このフレーズの変化するタイミングを指示するのがメタロフォンの奏者の役割になります。
コード進行をぐるっと一周して最後はパルスに戻り、フェードアウトするように終わるのにCD一枚分かかります。つまり一枚に一曲です。大体一時間くらい。
楽器編成ですが、弦楽合奏、シロフォン(木琴)、メタロフォン、ピアノ、「声」、あとクラリネットとバスクラリネットが持ち替えで。「声」の人はピアノも弾いたり(同時にではないですが)、いろいろ忙しいです。
自由な聞き方ができます。調性感があるので聴いていて疲れませんから、BGMのように扱うこともできますし、集中して聴き入ることもできます。一部だけ聴くと延々と同じことをしているように聴こえますが、全体を聞くと各パートによってかなりバリエーションがあることが分かります。私はたいてい夢心地になってしまいますが。
ライヒは「スティーブ・ライヒ&ミュージシャンズ」(近藤譲氏は「スティーブ・ライヒ楽団」と呼んでいました)というグループをもって作曲活動を行ってきました。参加しているメンバーのキャラクターもよく生かされていると感じます。彼らなしには完結しなかったかもしれません。彼らはこの曲を二度、スタジオレコーディングしています。
最初はアナログ時代のものですが、私は一番気に入っています。二回目のレコーディング(まったく同じメンバーというわけではない)も悪くはないのですがライナーノートに、ツアーが終わってすぐレコーディングされたためメンバーはみな疲れていた、みたいなことが書かれていて「え?どうせなら最高のコンディションでお願いしますよ」と突っ込みたくなります。とはいえ聴く限りでは何も気になりません。アンサンブル・モデルンの演奏もよいと思います。正直のところそれほど大きな違いを私は感じないのですが(つまり都合この三枚を持っているのですが)、聴く人によってはまた印象が違うのかもしれません。(三枚同時にかけるとどうなるのかな?たぶん「成立」するような気がします)。
他にもCDは出ています。ぜひ参加してみたくなる曲です。が、実際に演奏するのは難しそう。聴いている分にはそれほどにも感じませんが、演奏風景を見ると相当集中力がいるなと思います。
今販売されている中から推薦盤を探します。
スティーブ・ライヒ:18人の音楽家のための音楽<限定盤> スティーヴ・ライヒ&ミュージシャンズ セール価格¥1,728
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こちらが2014年にリリースされたものです。
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