ダリウス・ミヨーは有名なフランス6人組の一人ですが、400を超える作品のうち演奏されるのはごく一部です。
6曲からなる室内楽「農耕機」も演奏される機会は少ないと思われます。題名は「農機具」とか「農具」と訳されることもありますが、内容からして「農耕機」がふさわしいと思います。試聴機の7:16あたりからの終わり2曲が私は好きです。
ご承知の通り、彼の作品は多調(複数の調性が同時に鳴っている)ため聴き取りにくいといえばそうなのですが、第5曲の楽しさ、終曲の美しさには聞くべきものがあると思います。
作曲の経緯がふるっています。初めてFMで聴いたときの説明では、ミヨーは「農耕機」の博覧会に行って、カタログの説明を歌詞にして作曲したということでした。つまり歌詞はそれぞれの機械の宣伝文句になっているわけです。
ナクソスのページではこの曲について「農具」と翻訳されています。Wikiでは「農機具」です。Youtubeでの説明によれば、彼が農耕機の博覧会に行ったのは、「刈り取り機」を探している知人に頼まれてのことだったそうです。そこで彼は様々な機械を見て「着色された金属の昆虫」の美しさに印象付けられたようです。オネゲルが蒸気機関車に美しさを見出したのと同じだと。一部の批評家はこれを「冗談音楽」と決めつけたのでしょう。それに対しては「誰が冗談のために創作の生みの苦しみを味わうと思うだろうか?」と憤懣やるかたない感じで語っています。
とはいえフランス語に堪能なら歌詞が気になって音楽としての楽しさ、美しさから気がそらされてしまうかもしれません。実際フランスでの受けは良いものとは言えなかったようです。
さて、オネゲルを持ち出しているところを考えると博覧会は少なくとも「農具」、つまり鋤や鍬のような道具ではなく機械であったことが想像されます。「農機具」でもよいのですが「農耕機」の方がしっくりきます。
博覧会は1913年でしたが、実際に作曲が行われたのは1919年とのことです。編成はヴォイス(メゾ・ソプラノ)、ピッコロ(フルート)、クラリネット、バソン、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、ダブルベースの8名です。各曲は以下の通りです。翻訳できないのでかなりいい加減です。
- (何とか)コンバイン- La Moissonneuse Espigadora
- 芝刈り機-La Faucheuse
- バインダー(刈り取りと結束を同時に行う。字句通りでは結束機)-La Lieuse
- 種まき(何とか)機-La Dechaumeuse-semeuse-encouisseuse
- ???-La Fouilleuse-draineuse
- 熊手(?)-La Faneuse
FMでは第3曲について、「刈草束ね機」と言っていたような気がしますが、他は「畝を掘って水はけを良くする機械」とか「・・・」など、農協に行けば正式名称を教えてもらえるのでしょうけれども、フランス語と農耕機の双方についての知識のある方でないと訳せないですね。第5曲に至っては辞書にも出ていませんでした。
それから、終曲の「熊手」は明らかにあの熊手ではありえないので、「何か」を集める機械なのではないかと思います。ご存知の方、フォローお願いします。
オンライン購入できそうなのはこれ一つでした。ミヨーの全集(Milhaud: Une Vie Heureuse)がありましたが入っていませんでした(これはAmazonがちょっとだけ安いです)。
全集(農耕機は入っていません)にご関心がおありでしたら、こちらからどうぞ。
あとはNaxosですね。下記のタイトルになります。
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