スティーブ・ライヒの世界-その7。光を探し求めて。ライヒ:「砂漠の音楽」

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だんだんと陽が短くなり始め、肌寒い日もでてきました。あんなに夏の暑さに苦しめられたのに、やはり寒くて暗いのは苦手だなぁと勝手なことを思ったりします。そんな中、苦悩の内に一筋の光が差してくるような音楽を一曲。

ライヒ(そろそろ正しい発音、ライクとすべきかもしれませんが)のオーケストラと合唱のための作品です。最初期にはセリフが音楽に昇華されていましたが、パルスが重要な位置を占めるようになってからは、「声」が言葉ではない「音」として使われる作品に移行していきます(「18人のミュージシャンのための音楽」など)。それがこの作品では歌詞を持った「歌」が楽曲の中心をなしています。もちろんパルスも発声するのですが全体から見るとそれはごく一部です。

抜粋です。Iの終わり近くからⅢaが始まるところまででしょうか。

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ピアノの様々な技巧を楽しむ。ショパン:エチュード 作品10

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練習曲なのに癒される。癒されるというより高揚させられるといった方が正確かも。

エチュード、つまりピアノの練習曲なわけですが、たいへん聴きごたえがありレコーディングも活発に行われています。ショパンの書簡によるとこの曲集は「画期的な練習曲」として書かれました。ショパンの言わんとしていたこととは違うかもしれませんが確かに画期的な練習曲ではあります。というのも、練習曲でありながらピアノ曲としての完成度が非常に高いということです。

ちなみにショパンのエチュードには作品10と作品25の二つの作品があります。今回は作品10についてです。

聴いていると確かに練習曲として書かれていることがよくわかります。一定のパターン、指の動き、左右の手の配分など緻密に計算されていることが聴き取れます。ショパンは音楽教師として生活していた時期もありますし、ピアニストに対する愛情が彼のどの曲からも感じられます。それは練習曲に限らず、ピアニストにとってより良い技巧を身に付け、難しい曲もただ単に難しくしているのではなく、表現力豊かな演奏に導くように書かれている、そんな風に感じます。加えて、他の楽器ではなくピアノでしか表現できない曲作りが、彼をして「ピアノの詩人」と言わしめているのでしょうね。

いかにも練習曲らしい第一曲。ポリーニの演奏

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元気を出そう!簡素にして壮大な小交響曲。ヤナーチェク:シンフォニエッタ

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これは元気を出すのに大変良い曲で、本当は簡素な造りではないのですがスッと心に入ってきます。ガッツポーズも出そうです。気分がふさぎがちな時、やる気が出ない時などにお勧めいたします。

シンフォニエッタは小交響曲という意味があるのですが、実際には「小」とはいいがたいです。演奏時間こそそれほど長いものではありませんが、第一楽章のファンファーレに始まり、終楽章に回帰するまで実に緻密に作曲がなされています。

また、ヤナーチェクはモラビア出身の作曲家ですが、現在で言えばチェコに含まれる地域で、民族的な響きも感じさせます。

第一楽章:ファンファーレ。ノイマン指揮、チェコフィルハーモニー管弦楽団。

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集中力を高めよう。シェーンベルク:「管弦楽のための5つの小品」

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今回は、時代は前世紀初めのものですが、内容的には現代音楽に分類します。とはいえ、ハチャメチャに大騒ぎをしたり気をてらったりしたものではありません。この曲を聴くと非常に集中力が研ぎ澄まされる気がします。

シェーンベルクは、12音技法(12の音程を均等に使った音列をもとに作曲する)の創始者とされ、「無調」の作曲家ともされますが、実際のところ、彼は調性を消し去ろうとしたのではなく、むしろその逆に拡張しようとしたのだと思います。それまでの、ハ長調、ニ短調といった枠ではなく、音楽の瞬間瞬間の調性感を追求していったのではないかと考えられます。もっとも彼自身、その理念が充分に受け入れられる可能性を低く見ていて、大曲を途中で放棄してしまったりもしています。ですが、現在の私たちの耳は複雑化した調性にかなり対応できているのではないかと思います。

この作品は彼の比較的前期の作品で、後に改訂版が作られました。

サイモン・ラトルの指揮で(いかにも何かが起きそうな第一曲「予感」から始まります)

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楽しい夢を見たいなら。チャイコフスキー:バレエ組曲「くるみ割り人形」

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誰もがどこかで耳にしているはずの超メジャーな名曲。特に「白戸家」のおかげで「葦笛の踊り」は聴いたことがない人はいないのではないでしょうか?ですが、バレエのストーリーとなるとこれが存外知られていないようです。「白鳥の湖」とか「眠れる森の美女」など他のバレエはすぐに筋立てが思い浮かぶのですが。というのも二幕からなるこのバレエ、組曲版は第二幕から取られている部分が多く、そこにはストーリー性がないからなんです。では、いったいどんな話なのかというと…。

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ほら吹き男の冒険!コダーイ:組曲「ハーリ・ヤーノシュ」

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楽しい気分を味わいたいならお勧めです。もともとは歌劇的なものでしたが演奏機会は少なく、こちらの組曲は時々取り上げられます。中にはまじめな曲も入っていますが全体としては、はじけた楽しい組曲です。コダーイはバルトークと並び称されるハンガリー音楽の研究者ですが、バルトークよりも研究者としての側面の方が大きいように思われます。

第2曲:ウィーンの音楽時計

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超有名曲なのに出処が違う?ビゼー:「アルルの女」第二組曲

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とてものどかなパストラール、メヌエット。気持ち高ぶるファランドール。どの曲も懐かしい何かを思い出させて、濁った心を爽やかにしてくれます。

ところで、誰もが聴いたことがあると思われる「アルルの女」のメヌエット。ところがこのメヌエットが実は「アルルの女」に含れる曲ではなかった?なぜこんな珍妙なことが起きたのか?

とにもかくにも思いっきり賑やかな幕切れで私たちを活気づけてくれるこの戯曲。実は悲劇だったってご存知でした?

小澤征爾の指揮で

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まだ休みボケ?元気を出してさあ行こう。モーツァルト:交響曲第35番「ハフナー」

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気候も落ち着かないし、なんとなく気力の入らない今日この頃(私だけ?)。この曲で目一杯元気を出していきましょう。比較的短いこのモーツァルトの交響曲ですが、すべての楽章が長調で書かれています。明るい気分に浸れること間違いなしでしょう。

アバドの指揮で。冒頭からはじけています。

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